掲載日 : [22-04-11] 照会数 : 2455
交通事故の損害賠償…多岐にわたる賠償額の目安
Q
先日、自動車を運転中に赤信号で止まっていたら、後ろから自動車に衝突されてしまいました。短期間の入院の後に病院に通院し治療を終えました。
この場合、加害者に交通事故の損害賠償として請求出来る内訳を教えて下さい。
また、治療終了後に相手方が加入している任意保険会社の方から示談の申し入れがあった場合、応じても良いのでしょうか?
A
◆請求出来る内訳
交通事故の損害賠償として請求出来る内訳は①治療費②通院交通費③入院雑費④休業損害⑤入・通院慰謝料⑥後遺症慰謝料⑦後遺症による逸失利益⑧物的損害です。
その他にも場合によっては、介護費用や介護のための自宅改造費用、死亡事故の場合は、葬儀費用などが請求出来ることがあります。
それでは①から⑧までを具体的に説明していきます。
①治療費
治癒(ケガが治ること)又は症状固定(治療しても回復が見込めない状態)までに病院にかかった費用です。
医学的にみて必要性、合理性のない診断や一般的な診療費、治療費の水準に比べて、著しく高額な場合は、過剰診療、高額診療として否定されることがありますので、注意が必要です。
また、特別室の費用は大部屋でも治療が可能であるのに、あえて特別室を使用している場合には、損害として認められないことがあります。
②通院交通費
病院までの交通費です。公共交通機関を利用した場合はその実費、自家用車を使用する場合は、基本的に1㌔㍍につき15円を燃料代として請求することができます。
タクシーに関しては公共交通機関での通院が困難な場合などは認められますが、保険会社と争いになることが多いので、事前に承諾を得ることが望ましいです。
③入院雑費
入院した場合、入院中にかかる雑費を1日1500円(裁判基準)請求できます。
④休業損害
事故により会社を休んだことによる収入減少分に当たります。
⑤入・通院慰謝料
交通事故により被った精神的苦痛に対する金銭賠償です。慰謝料の金額は、治療期間や被害者の立場などによってある程度基準化されています。
⑥後遺症慰謝料
後遺症を被った精神的苦痛に対する金銭賠償です。等級により、金額の基準が定められています。
⑦後遺症による逸失利益
後遺症により将来の収入の減少に対する補償のことです。
⑧物的損害
自動車修理費等です。
◆交通事故の算定基準
交通事故の算定基準には、①自賠責基準②任意保険基準③裁判基準があります。任意保険の会社は、自社の任意保険基準で賠償額を提示してきます。
弁護士に相談、依頼いただくと、裁判基準での損害額の目安を計算して提示したり、依頼者に代わって保険会社との対応をしたり、保険会社との交渉の結果、請求出来る損害賠償額が増えるなどのメリットがありますので、弁護士費用や解決にかかる時間などを考慮して、示談をするか否かを検討されるのが望ましいと思います。
弁護士 崔順伊