掲載日 : [2016-06-08] 照会数 : 5631
「在日」の現在・未来 討論…東大で国際学術大会開く
[ ニューカマーの立場から発表する柳赫秀さん ]
青巌大研究所
「東アジア及び世界の中の在日コリアン‐現在と未来」をテーマとした国際学術大会が5月28日、東京・目黒区の東大駒場キャンパスで開かれた。青巖大学校在日コリアン研究所(鄭熙所長、全南順天市)が東京大学大学院韓国学研究部門などと共催した。
高史明さん(東大)は2012年11月から13年2月まで3カ月半、ツイッター上のツイートを収集し、計量的に分析した結果を「在日コリアンに対するインターネット上の差別」と題して報告した。その研究成果は『レイシズムを解剖する』(勁草書房、2015年)にまとめられている。
検索にあたってのキーワードとしたのは「在日」or「韓国人」or「朝鮮人」or「チョン」。いずれか一つを含むものを無作為に150件抽出して分析したところ、約70%がネガティブな内容だったという。高さんは極端に投稿数が多く、フォロワー(購読者)数も多い、ごく少数の差別的なユーザーが背後に存在すると指摘した。
柳赫秀さん(横浜国立大学)がテーマとしたのは、「ニューカマーの視点から見た在日朝鮮人とその未来」。「事実としての在日」が容赦なく進行していくなか、日本社会は依然として閉鎖的で変わっていないと批判的に論じた。特に「1億総活躍社会」で在日外国人に言及していないことを挙げ、「日本社会の健全な発展にとってよろしくない」と指摘した。
青巖大学校は在日同胞の祖国貢献事業を掘り起こして体系化し、顕彰したいと5年前に在日コリアン研究所を設立した。
聞き書き資料集発刊
「在日の生活と文化」全3巻
青巖大学校在日コリアン研究所が5月27日、口述資料集『在日コリアンの生活と文化』(全3巻)を刊行した。
第1巻「多様な生活の記録」篇には河貴明さん(婦人会東京本部会長)、呉永錫さん(新宿韓国商人連合会会長)ら9人。第2巻「教育・学術」篇では姜徳相さん(在日韓人歴史資料館館長)、徐龍達さん(桃山学院大学名誉教授)ら8人。
第3巻「文化・芸術」篇では河正雄さん(光州市立美術館名誉館長)、金守珍さん(劇団新宿梁山泊代表)ら7人を収録した。
(2016.6.8 民団新聞)