掲載日 : [2023-05-10] 照会数 : 1858
民団全国実務者セミナー、団員拡充へ家庭訪問推進
[ 全国から集まったセミナーの受講者 ]
「KJアプリ」の概要発表'コロナ禍3年ぶり
民団中央本部は4月26日、韓国中央会館(東京・港区)に地方本部と中央傘下団体を担う全国の実務者41人を招いて3年ぶりとなる「2023年度在日同胞社会地位向上セミナー」を開催、前半期の団務指達を行った。会議では民団中央本部が開発を急いでいる在日韓国人コミュニティアプリ「KJアプリ」について概要を明らかにした。近く準備委員会を発足させる「民団・留学生支援センター」と併せ、団員の掘り起こし・拡大のツールとして活用していくことを確認した。
「KJアプリ」は会員登録することで、地域内のイベント内容が自動的に届くシステム。求人求職・ブライダルなどの生活情報も手軽に入手できる。みんだん生活相談センターと連携しているため、なにか困りごとがあれば専門相談員にアクセスしてもらえる。
お得情報も満載だ。必要な韓国食品があれば、割安な会員価格で取り寄せが可能に。災害時には肉親の安否確認に欠かせないツールとなる。また、支援物資や義援金支給などの情報も届く。韓国語と日本語の双方に対応しており、団員と非団員、新定住者、日本国籍者を一つに繋げることのできるものと期待されている。全容は近く公開する。
今後とも正会員(団員)だけが利用可能なアプリケーション機能を拡大し、準会員(一般)からの自発的な団員登録を促す。全国事務局長には既存・新規団員へのアプリ登録の積極的な推奨を呼びかけた。
「民団・留学生支援センター」は本国とは異なる生活環境で戸惑い、孤立している韓国人留学生をサポートするためのもの。主な支援事業は日本での住宅確保と就活・インターンシップ、進路相談、キャリア教育、文化スポーツの場の提供など。地方本・支部、学校(大学)、企業などと連携して後押しする。
6月には実行委員会を発足させ、7月以降のオープンに向けて準備を急いでいる。留学を終えてからも日本に定着していく学生を民団組織に繋いでいくセンターとして役割も期待される。
韓国から日本をめざす留学生は新型コロナの影響で減少したものの、いまは上向きつつある。2020年には1万8000人余りにまで達した。
本部各局からは具体的な指達事項があった。
組織局は同胞家庭訪問による団員拡充運動について伝達した。団員との接点を増やし、後継者や新規団員を発掘するとともに組織への信頼関係をさらに強固にしていくのが狙い。5月から11月にかけ、全体で3~9日間をめどに実施していく。これまで実施していない地方を優先する。
民団が「運動」を全面的に打ち出すのは地方参政権以来。中央本部が活動経費を含めて全面的に支援すると約束した。
後継者育成のための「在日同胞指導者ワークショップ」(民団マスタースクール)は東京開催を想定し7月から8月にかけて全国から150人規模で実施。併せて地方本部単位での各級幹部セミナー開催を促した。
「在日同胞リーダー育成スクール」(中央組織学院)は前半期を6月に内定。地方教室については広島と福岡から開催要請があった。いずれも1泊2日と参加者の便宜を図った。
生活局は「みんだん生活相談センター」を広報するリーフレットの作成を急いでいる。各地方本部単位での配布を要請した。6月には秋田で新規開設が決まっている。
文教局は8月、在日同胞の中学生と高校生を対象に東京で「韓国文化探訪スクール」を実施する。各3泊4日の日程。大学生対象の「ライジングスターセミナー」は2泊3日の日程。9月、東京で。中・高・大学のいずれも募集人員は100人規模の予定。これらに先立つ13、14の両日、「第3回オリニ事業促進セミナー」を中央会館で行う。
総務局からは在外同胞財団からの支援金の使用に関するガイドラインについて指導。「インボイス制度」については米国公認会計士で税理士の朴基幸さんが説明した。
冒頭、呂健二団長は第55回定期中央大会を契機としてくすぶり続ける民団内部の葛藤事態には「ゲームをやっているとしか思えない」と苦言を呈し、「意見が違ってもいったんさがる。大騒ぎするのはよくない。民団があって良かったと思える仕事をしていこう」と呼びかけた。