朴槿恵大統領と中国の習近平国家主席は、3日に青瓦台で行われた首脳会談で、北韓の核開発に断固反対し、核放棄に向けて協力していくことを確認した。朴大統領は会談後の共同記者会見で、「韓半島の平和と安定について深く議論がなされた」とし、「両首脳は北の非核化を必ず実現し、核実験に決然と反対することで一致した」と説明。「なによりも北韓が核と経済開発の並進路線にこだわる状況で、習主席の訪韓は北韓の非核化と韓半島の平和と安定のための明確なメッセージとなるだろう」と強調した。
習主席 「ドレスデン構想」支持
朴大統領と習主席による両国首脳会談は今回が5回目。中国の国家主席が就任後、北韓より先に韓国を訪問したのは初めて。
両首脳は会談後に発表した共同声明で、相互信頼に基づいた「成熟した戦略的協力パートナー関係」を構築し、韓半島と東北アジアの平和に向けた協力を強化することにした。
両国関係の未来像としては1,共同発展を実現する2,地域平和に寄与する3,アジアの発展を推進する4,世界の繁栄を促進するの四つのパートナー像を提示した。
北韓の核問題に関しては、「双方は韓半島での核兵器の開発に断固として反対していく」とし、4度目の核実験を含め、北韓の核開発・保有は認めないとの立場を再確認した。
さらに両首脳は「韓半島非核化の実現のため、関連当事者が6者会談のプロセスを着実に推進し、相互尊重の精神に基づき、2者または多者間の意思疎通と調整を強化、9・19共同声明(2005年)による関連当事国の関心事項を解決しなければならない」とし、「6者会談の再開に向けた条件を整える必要がある」との認識でも一致した。これは北韓の「無条件での6者会談再開」という要求を一蹴したものとされる。
「日本憲法解釈変更」に懸念表明
また、朴大統領が「韓半島信頼プロセス」や南北統一に向けた「ドレスデン構想」などを強調したのに対して、習主席は「南北関係改善に向けた韓国側の努力を積極的に評価し、韓半島の平和的統一の実現」への支持を改めて表明した。
両首脳は、青瓦台の国家安保室長と中国の外交担当国務委員による外交安保高位戦略対話の定例化、両国外相による相互訪問の定例化、両国国防部を結ぶホットライン(直通回線)の開設、両国政府と民間が共に参加する半官半民による対話体制の発足、海洋境界画定交渉の開催などにも合意した。
経済協力関係では、高いレベルでの包括的な韓中自由貿易協定(FTA)締結のための交渉進展を評価し、年末までの交渉妥結に向け努力を強化するほか、ウォンと人民元の直接取引市場の開設についても積極的に取り組むとした。
さらに、2016年までに1000万人を目標とする両国の人的交流を実現するために努力し、査証免除範囲の段階的拡大について積極的に協議する。その一環として来年を「中国訪問の年」、翌16年を「韓国訪問の年」と定めることにした。
共同声明と共同記者会見では、慰安婦問題で旧日本軍の関与と強制性を認めた河野洋平官房長官談話の検証報告書公表や集団的自衛権の行使容認など、日本の安倍政権に対する両国の立場や日本の歴史認識問題などについての言及はなかった。
しかし、両首脳は4日の非公式昼食会で日本の歴史修正主義的な態度が続いていることや、集団的自衛権行使を可能とするため憲法解釈を変更したことに懸念を示した。日本の対北制裁の一部解除については、人道主義の観点から日本人拉致被害者問題の解決は理解を示したが、北韓の核問題をめぐる国際的な協力体制に悪影響を及ぼす恐れがあるとの認識で一致した。青瓦台の朱鉄基外交安保首席秘書官が同日の記者会見で伝えた。
なお、共同声明付属書では「韓中日3国の協力が東北アジアの平和と繁栄に重要」とするとともに「両国は慰安婦問題関連資料の共同研究や共有、相互寄贈などで協力していく」と明示した。
習主席は3日、彭麗媛夫人とともに国賓とし訪韓。翌4日、国会を訪問し、鄭義和国会議長や与野党の院内代表と会った後、ソウル大学で講演した。両国を代表する財界関係者約450人が参加した韓中経済通商協力フォーラムにも出席し、同日夕、帰国した。
(2014.7.9 民団新聞)