掲載日 : [2022-07-22] 照会数 : 2503
韓国語能力試験普及へ韓国教育財団が立教大とフォーラム
[ 韓国語能力試験(TOPIK)の普及を図るための第1回フォーラム ]
韓国語能力試験(TOPIK)の普及を図るための第1回フォーラムが16日、東京・豊島区の立教大学池袋キャンパスであった。日本での実施主体である公益財団法人韓国教育財団が立教大学外国語教育研究センターと共催した。
韓国語能力試験は大韓民国政府が認定し、国立国際教育院が年3回、世界86カ国で同時に実施している。日本での受験者数は毎年10%ほど増加し、2021年は4・1万人と歴代最高記録を更新したとされる。ただし、日本で同じく30年の歴史を持つハングル能力検定協会主催のハングル能力検定試験に比べれば少なく、広報・周知が課題となっていた。
フォーラムでは韓国語能力試験の模範的な運営事例を3人が講演した。
金京児さんは長崎県立対馬高校で韓国語の教員を務める。金さんによれば、同校は全国の公立高校で唯一、韓国語を専門的に学べる「国際文化交流科」を設置し、韓国語・韓国文化の学習と検定取得、韓国語の能力を生かした進路実現を図ってきた。生徒数は現在、77人。このうち、半数は県外からの入学者だ。
韓国語の授業は1年次週5時間、2年次に7時間、3年次には7時間あり、習熟度に分けて2クラスで実施中。1年2学期から検定対策に力を入れており、10月に1年生全員、2・3年生は希望者が4・10月に受験している。これまでに370人が入学し、2割近くの74人が韓国の大学に進学した。
問題は最高位の評価基準6級に合格するとさらなる学習意欲が減退してしまうこと。金さんは「評価等級取得後の活用法が増えてほしい」と述べた。
長崎外国語大学での運営事例について報告した外国語学部の朴永奎教授によれば、同校において韓国語能力試験は「海外派遣留学プログラム」に参加するための条件となっている。
一定レベル以上の語学力を認められると、交換留学の派遣先大学を優先的に選択できる。韓日大学間のMOU締結大学に限れば、国費留学生として入・出国航空運賃、定着支援金、学費、月約9万円の生活費、保険料、帰国準備金の支給を受けられる。このほか、学長から表彰状と図書券の記念品が贈られる。
最後に講演した近畿大学国際学部の酒勾康裕准教授は、韓国語能力試験の取得級に基づく就職の可能性について、企業関係者へのアンケートやインタビュー結果をもとに述べた。
第2部では韓国語学習You Tuber「トリリンガルのトミ」さんとJリサーチ出版編集部社員の和田圭弘さん、新大久保語学院の李承珉院長が加わり、6人で討論を展開した。この日のフォーラムはオンラインで生中継された。
(2022.07.20 民団新聞)