掲載日 : [2023-02-01] 照会数 : 2894
《エンタメ万華鏡》『ザ・ファースト・スラムダンク』が韓国席巻
[ ザ・ファースト・スラムダンクの韓国版ポスター ]
3週で観客167万人動員
日本アニメ浸透進む
全国制覇を夢見る北山高校バスケットボール部5人組が22年1月、韓国内映画館を席巻している。今年1月4日に韓国で公開された「ザ・ファーストスラムダンク」(井上雄彦監督)は、26日まで167万人余りの観客を動員し170億ウォン余りの収益を上げた。公開映画館数もほとんど減っておらず、1日の上映回数はむしろ増えている状況で、しばらく興行は続くものと見られる。
韓国内で人気を得た日本映画の中で、アニメーションの割合は非常に大きい。「ザ・ファーストスラムダンク」は現在、日本アニメ興行記録歴代第5位だ。
興行順位1~4位のアニメーション映画は「君の名は」(新海誠監督、16年)379万人、「ハウルの動く城」(宮崎駿監督、04年)261万人、「劇場版鬼滅の刃・無限列車編」(外崎春雄監督、21年)215万人、「千と千尋の神隠し」(宮崎駿監督、02年)200万人と、おなじみのタイトルの映画だ。
特に宮崎駿監督の映画は韓国でも大人気。第52回ベルリン映画祭で金熊賞を受賞した「千と千尋の神隠し」は、韓国内で02年に公開され大きな人気を得た。
日本映画の公開がまだだった時期にも、宮崎監督のアニメーションに対する韓国内の関心はすでに高かった。「日本大衆文化開放」とともに、「千と千尋の神隠し」(01)が一般公開され、その後も「風の谷のナウシカ」(84)、「天空の城ラピュタ」(86)、「もののけ姫」(97)などが相次いで公開となった。
当時は予想を上回るほどの興行には繋がらなかったが、映画界に新たな話題を残すなど、多くの関心を集めた。
それから20年。原作漫画を映画化した日本アニメーションの人気も着実に続いてきた。1千万観客動員のようなメガヒット作はまだ出てないが、韓国内でのアニメファンは徐々に増えている。
「ザ・ファーストスラムダンク」に注目が集まるのは、新型コロナ感染症が長期化する中で記録を伸ばしているからだ。
21年の年間ボックスオフィスを見ると、「鬼滅の刃・無限列車編」は215万人余りの観客を動員し、全体順位7位に上がった。
1位の「スパイダーマン‥ノーウェイホーム」(ジョン・ワッツ監督、21年)が20年末を含めて700万人余りの観客を動員し、2位の「モガディシュ」(リュ・スンワン監督)が345万人余りを動員したことと比べても、かなり大きな興行成績を残している。
22年、年間ボックスオフィスでも劇場版日本アニメーションの人気は続いた。「劇場版クレヨンしんちゃん謎!「謎メキ!花の天カス学園」(高橋渉監督)が28位(83万人の観客)に、続いて「劇場版呪術廻戦0」(朴性厚監督)が35位(66万人の観客)を記録した。
58万人の観客を動員した「劇場版ポケットモンスターDP&パールギラティナ、氷空の花束シェイミ」(湯山邦彦監督)、49万人の観客を動員した「名探偵コナン・ハロウィンの花嫁」(満仲勧監督)も37位と39位に名前を連ねた。
「ザ・ファーストスラムダンク」の興行記録更新の大きな理由は、原作漫画ファンやアニメシリーズファンのほか新たなアニメファンの流入だ。映画をみてから、原作漫画やアニメシリーズにはまる若い世代が増えるという、ちょっとした逆現象が起きているという。
ここ数年、映画館から遠ざかった観客とネットフリックスのような新しいプラットフォームの登場という変化の中で、劇場版映画の生存努力は続いているが、スペクタクル映像美が強みであるブロックバスター大作の中で、地道ともいえる日本アニメーション映画の奮闘は非常に興味深い。
(2023.2.1民団新聞)