掲載日 : [2016-12-21] 照会数 : 7679
北核抑止韓日米の圧力で…民主平統フォーラム「国際社会の憂慮大」
[ 130人が参加した韓日平和統一フォーラム ]
2016韓日平和統一フォーラムが15日、都内で開かれ、日本全国の平統諮問委員ら130余人が参加した。民主平和統一諮問会議(民主平統)が主催し、同日本地域会議が主管した。主題は「北核問題の解決方法と韓半島の平和統一」で、第1セッションでは「北韓の核・ミサイル開発と韓半島情勢」、第2セッションでは「韓日関係の現在と未来、そして日本の対北政策」が論議された。民主平統の権泰午事務処長は開会の辞で「北韓の核とミサイルの挑発による韓半島の危機的状況は、国際社会の憂慮を大きく増進させた。北韓問題の解決方法について共通認識を持ち、両国の協力方案について具体的な提案が出されることを願う」と述べた。討論では、北韓の核放棄には、韓・日・米が協調して圧力をかけることが必要であり、韓国政府の強固な安保態勢が肝要だ、韓日関係では、昨年末の「慰安婦」と今年11月の「軍事情報包括保護協定」の両国合意をきちんと履行することが大事だとの意見が出された。
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韓国次期政権が「変数」
韓半島情勢
民主平統日本地域の呉公太副議長(民団中央本部団長)は「北韓の無分別な核実験やミサイル発射などの挑発行為に対して、わが国は開城工団の中断を決定した。日本地域会議は、韓・米・日の協力関係強化を通じ、朝鮮総連のような共産主義的イデオロギーを維持する組織と対峙しながらも、確固たる安保意識と民主的平和統一を実現させるために努力する」と決意を述べた。
李俊揆駐日韓国大使は「民主主義、市場経済、人権など価値観を共有する韓日両国は、韓半島及び北東アジアの平和と共同繁栄のパートナー。国連安保理の対北制裁への連携や、金融・人的分野の追加的独自制裁と北韓に関する情報の共有強化に多くの成果を収めている。相互信頼と理解を土台に、歴史問題をしっかり踏まえ、共生と協力を実現できるよう関係を拡大していくことが重要だ」と呼びかけた。
日韓議員連盟に所属する民進党の長島昭久衆議院議員は「北韓が核実験の既成事実化で核保有国として黙認されることは、絶対に容認できない。韓半島の非核化実現に向け、韓日が中心になり北や周辺諸国に働き掛けを強めよう」と述べた。
基調講演は高麗大学の玄仁澤教授(前統一部長官)で、「北韓の核問題の解決策と韓半島平和統一」について、「北の核開発は9割方進み、ほぼ完成段階にいたっている。核放棄には、北韓に対する圧迫以外に代案はなく、韓・日・米が協調することが解決の最後の希望」と述べた。さらに「国連安保理決議第2321号が北の核放棄につながらないのは、中国の北韓制裁反対の曖昧な態度に要因があり、私たちは中国に決定的な役割を果たすよう仕向けるべきだ。また、米国の新政府発足初期から断乎とした対北政策の意思表明と韓国政府の強固で揺るぎない安保態勢が必要だ」と結論づけた。
第1セッションでは「北韓の核・ミサイル開発と韓半島情勢」について、慶南発展研究院の劉性玉院長(前国家安保戦略研究院長)が「金正恩が執権して以来、経済と核の並進路線に舵を切ったが、国家安保を核兵器とミサイル開発のみに依存した結果、国際社会から制裁措置を受け、経済発展と核兵器増強の並進路線は実行不可能な状況だ」と説明した。
劉院長は北韓が核とミサイルに固執する理由として「1つ目に、食糧難・外貨難・エネルギー難の3難を改善できない北韓は、住民の不満を封じるために世界の核保有国の仲間入りさせた金正恩の指導力を宣伝することで、体制強化を図る必要。2つ目に、韓国を北韓の核兵器の人質にすることで、韓半島全体の共産化統一の有利な環境を造成する意図。3つ目に、米国新政府を相手に核兵器・ミサイル開発を凍結する妥協で米国との平和協定を締結し、関係正常化と駐韓米軍の撤収を引き出すという意図がある」と解説した。
東京大学の木宮正史教授は米朝関係について、「北はトランプ政権の登場で国交正常化を通した関係構築を、核保有を犠牲にせずに達成することが目標。米国を交渉テーブルにつかせるために、早期に米国本土を射程距離に収めた長距離ミサイルと、そこに搭載可能な小型化された核弾頭の開発実現を急ぐだろう」と指摘した。
討論に入り、韓国側から鄭承兆・予備役陸軍大将(前国防部合同参謀議長)、日本側から共同通信の平井久志客員論説委員が出席し、北韓の非核化に対する中国の積極的な参与方案や、韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)で得られる具体的な情報提供について意見が交わされた。
平井委員は「米国本土に到達する長距離ミサイルを保有することになれば、トランプ政権は北との交渉をせざるを得なくなるだろう。韓国の次期政権がどうなるかが大きな『変数』になる」と見通した。
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合意履行が大切…慰安婦問題と軍事情報協定
韓日関係
第2セッションでは、「韓日関係の現在と未来、そして日本の対北政策」をテーマに論じた。慶応大学東アジア研究所の添谷芳秀所長は「トランプ新政権が、北韓の核保有を認めた上での新たな交渉を模索するかもしれない」と語った上で、「軍事情報包括保護協定を締結した韓日両国も、ゼロベースで新たな協議を始め、協力を始めなければならない」と述べた。
韓国の陳昌洙世宗研究所長は日本の外交変化と韓日関係について、「日本は韓国と米国との同盟強化をしつつ、中国に対してはけん制をしながら関係安定を図る」と述べ「揺るぎない韓日関係が東北アジア外交の柱になる」と強調した。
討論に入り、武藤正敏前駐韓日本大使は「韓国の革新系政権の誕生は、対北融和姿勢に転換する懸念があり、北韓が核・ミサイルの実戦配備をする危険や北韓主導の統一を画策することも考えられる。韓国の安保を強化しなければならない」と強調した。
韓国・中央日報の金論説委員(前国防部代弁人)は「北韓の核の脅威に対して、運命共同体になった韓日両国が、軍事情報包括保護協定を締結した。共同対応できる基盤体系の構築であり、韓米連合軍が北韓の弾道ミサイルを除去するキルチェーン作戦を遂行する過程で、日本の偵察衛星の対北探知情報は大いに役立つ」と評価した。さらに韓日間の「慰安婦」と「軍事情報包括保護協定」合意をきちんと履行することが大事だ。韓国の核武装はありえない」と断言した。
(2016.12.21 民団新聞)