掲載日 : [2020-10-02] 照会数 : 4428
【新刊紹介】母への思い綴った随筆集『知恵 我が母の生涯』
亡き母への思いを綴った在日の姜健栄さん(大同クリニック理事長)による著『知恵 我が母の生涯』が、かんよう出版から刊行された。
本書は、1919年、済州島で生まれキリスト教伝道師の長女として育った著者の母、李東珠さんの生涯と祖母への思い、著者が日常生活や文化活動の中で得た体験などが収録されている。
李さんは11歳の時に家族5人で大阪に移住した。17歳で結婚し、3人の子どもを出産するも、23歳の時に夫が病死する。一家の生計を立てるため商売に励んできたが、57歳で亡くなった。
「他人の心の痛みが解る人に育ってほしい」いう強い思いは、著者にも引き継がれている。李さんから医学部受験を提案された理由を著者は「当時、在日の青年たちが大学を卒業しても、就職が困難だったことを知っていたようだ」と回想する。
医師になるまで、著者が出会った人たちとの交流話も心温まる。
定価1500円+税。
問い合わせはかんよう出版(06・6556・7631)。
(2020.10.01 民団新聞)