掲載日 : [2016-08-24] 照会数 : 4712
朴槿恵大統領第71周年光復節慶祝辞(要旨)
[ ソウル市松坡区「平和の門」前から出発する光復節記念太極旗パレード ]
挑戦と進取、肯定の精神 甦らせよう
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大韓民国の底力
国際舞台で主導的役割
尊敬する国民の皆さん。
700万在外同胞と北韓同胞の皆さん。この場をともにされた内外貴賓の皆様。
本日は第71周年光復節であり、建国68周年を迎える歴史的な日です。祖国独立のために身を捧げた殉国烈士と建国のために献身した愛国志士に深い敬意を表します。独立有功者と遺族の皆様にも尊敬と感謝の挨拶を申し上げます。
国民の皆さん!
このように光復を取り戻し、大韓民国を建国した先覚者たちは、自由民主主義の憲法秩序に基づいて、すべての国民に機会の均等を保障し、競争と創意を促す国の基礎を構築しました。私たちは今、その魂と精神を受け継いで子々孫々が自由と幸福を享受できる世界にも誇らしい大韓民国をつくっているのです。
私は諸国を訪問するたびに、我が国民が成し遂げた今日の大韓民国に無限の自負心を感じました。自動車、鉄鋼、船舶などの伝統産業をはじめ、スマートフォンなど最先端の製品に至るまで、メイド・イン・コリアは最も優れ、信頼性の高い製品として世界の人々から愛されています。
開発途上国の発展モデルに
韓流に代表される私たちの文化は、世界の人々が熱狂する新しい文化になりつつあります。世界的な文化の中心地パリでは、雨の中でも韓国のK‐POPと文化に触れ合うため、欧州各国の若者たちの行列が延々と続きました。アジアとアフリカ、南米をはじめとする多くの地域の発展途上国は我が大韓民国を発展モデルとして学ぶ努力をしてきました。
1世紀前、私たちはハーグの第2回万国平和会議で密書を抱えて奔走しても、訴えを聞き入れてくれる国を見つけることもできなかった弱小国でしたが、今は、G20のメンバーであり、グローバル経済の秩序づくりに直接参加し、国際舞台で主導的な役割をしています。
半世紀前、1人当たりの国民所得が67ドルの最貧国でしたが、今では経済規模世界11位、輸出規模6位の国へと発展しました。これらの奇跡を遂げた私たちの先祖は、貧困の中でもすべてを捧げて子どもたちを教育させ、両親は遠い異国の真っ暗な炭鉱で、密林地帯の戦場で、そして熱い砂漠の真ん中で血の汗を流しました。
そして今、私たちが歩んできた道と、私たちが未来に向かって歩いているこの道は世界が続き、学ぼうとする道になっています。これがまさに大韓民国の底力であり、誇り高き今の姿なのです。
しかし、いつからか、私たちの内部では、大韓民国を否定する誤った風潮や、私たちの偉大な現代史を否定し、世界が羨む韓国を卑下する新造語が広がっています。
法を軽視する風潮や相手を省みない文化が蔓延して社会的コストが増加し、対外競争力まで失墜しています。他人への配慮と譲歩、信頼をもとにするよりも、不信と非妥協、人身攻撃などによる社会混乱も増大されつつあります。
国民の皆さん。
自己卑下と悲観、不信と憎悪は決して変化と発展の動力になることはありません。それは私たち自身を縛りつけ、私たちの社会を崩壊させてしまうだけです。今、再び大韓民国発展の原動力だった挑戦と進取、肯定の精神を甦らせましょう。
すべてのことは心から始まります。資本も資源も技術もなかった時代に、素手で立ち上がった私たちが、世界最高の技術力と豊富な資本まで持つ今、できないものがあるでしょうか。「できる」という勇気と自信を持ち、内部分裂と反目から抜け出し、思いやりと包容で成熟した市民意識を育み、誰もが一歩引き、「困難な時こそ豆の半分を分けあう」共同体文化をつくっていけば、一段階高い跳躍を成し遂げられると確信しています。
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第4次産業革命
追随者でなく先導者に
グローバル経済の不振が続く今、私たちの経済は企業の構造改革というもう一つの大きな課題を抱えています。
たとえ困難な状況であっても私たち皆が心を一つに変化と改革を通じて、危機を発展の機会に変える努力をしていけば、第2の跳躍を成し遂げられると私は確信しています。
4次産業革命が到来している今、企業が新産業への進出を恐れていれば、経済の躍動的な発展ははるか遠いものになるでしょう。政府は産業構造の新しい場づくりへ積極的な企業の構造調整、R&Dシステムの抜本的革新と「破壊的イノベーション」レベルの果敢な規制改革を通じ、企業が自信を持って新産業の創出に乗り出せるようにします。
3次産業革命の時期まで、私たちの経済は他の国への追撃者でした。しかし、現在進められている4次産業革命では、私たちは追随者ではなく先導者になるべきであり、私たちが努力すれば明らかにそうなることができます。
創業を活性化して敗者復活戦が可能な環境を構築し、青年たちが得意とする分野を見つけ、わが国はもちろんグローバル舞台まで勇気を持って挑戦できるようにしていきます。
また、教育が真の「機会のはしご」になるように、夢と才能を育ててくれる現場中心の教育改革を継続的に推進し、スペックではなく、個々人の力量が評価される社会を築いていきます。幼い頃から価値観と正しい歴史意識を持って、各自の才能を見つけ、国家発展の原動力をつくっていきます。
しかし、先進国家への夢は政府の努力だけでは成し遂げることができません。国民と政界、労働者と企業人すべての心が一つになり、国の経済を活動的にさせなければなりません。
企業の皆さん。
政府を信じ、自信を持ち果敢な新産業への投資と雇用創出に先頭に立って下さい。
国民の皆さん。
私たちの底力を信じて、やり遂げられるとの信念を持ち、より進取的で積極的に未来を開拓してください。放棄と挫折を知らなかった不屈の精神を呼び起こし、もう一度大韓民国の成功神話を成し遂げましょう。
先送りできぬ国家生存課題
労働改革は国家競争力を左右する核心要素です。私たちの未来世代のためにはもちろんのこと、経済の雇用絶壁を防ぐために、一時も先送りできない国家生存の課題です。
私たちに残された時間はあまりありません。青年たちと非正規職勤労者のために、私たち国民すべてが自分の既得権を少しずつ譲歩し、労働改革の扉を開くために参加していただくことを切にお願い申し上げます。
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真の光復実現へ
核・ミサイル開発中止を
私は真の光復は8000万民族すべてが自由と人権を享受し、これ以上、離散の痛みと苦しみがない統一大韓民国をつくることであり、それが私たちに与えられた歴史的な課題だと信じます。
そのためには何よりもまず、韓半島で核とミサイル、戦争の恐怖を取り除かなければなりません。この地の平和はもちろん、民族の将来のためにも北韓の核兵器開発は決して容認できません。
政府は北韓の核とミサイルから国家と国民の安全を守るため、国際社会との協力をさらに強化し、必要かつ可能なすべての措置を執ります。高高度防衛ミサイル(THAAD)配置も北韓の無謀な挑発からわが国民の生命を守るための自衛権的措置です。私は国民の生命がかかっている問題は、決して政争の対象にはできないと思います。
今日の第71周年光復節を迎え、北韓当局に促します。核兵器をはじめとする大量破壊兵器開発と対南挑発の威嚇を即刻中断しなければなりません。
私たちは北韓当局の誤った選択で苦痛の中にある北韓住民の惨状を無視することはないでしょう。今からでも人類の普遍価値を尊重し、国際的な義務と規範を遵守する正常な国際社会の一員になることを願います。私たちの社会の混乱と葛藤を生じさせようとする時代錯誤的な統一戦線次元の試みもやめるべきです。北韓当局が正しい選択をして真正性ある姿勢で臨むならば、私たちはいつでも平和と共同繁栄に進む機会を提供します。
北韓当局の幹部とすべての北韓住民の皆さん!
統一は皆さんすべてがいかなる差別や不利益なく、同等に扱われ、各自の能力を思う存分に発揮し、幸福を追求することができる新しい機会を提供します。核と戦争の恐怖が消え、人間の尊厳が尊重される新しい韓半島統一時代を拓くために参加してくださるよう願います。
悲観的思考の取り除き緊要
今の国際情勢、特に東北アジアの安保情勢の変化は、私たちに厳密な対応姿勢が要求されています。過去のどの時よりも私たちの戦略的思考と国家的力量結集が切実です。私たちの運命が強大国の力学関係によって決定されるという被害意識と悲観的思考を振り払わなければなりません。
私たちが韓半島と東北アジアの平和繁栄の主役という責任感を持ち、周辺国との関係を能動的かつ互恵的に導いていかなければなりません。韓日関係も歴史を直視する中で未来志向的な関係を新たにつくり出さなければなりません。
今、私たちに必要なのは、漠然とした期待ではなく、冷静な現実認識に基づいた先制的かつ創造的思考です。これこそ、今日の私たちに要求される時代精神であり、71周年を迎える光復の精神を甦らせる道だと信じます。
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不可能はない
力合わせてともに進もう
私たちは絶望の中でも希望を失わず、苦しい生活の中でも、未来を信じて、世界が語る「漢江の奇跡」を成し遂げました。私たちは現在の挑戦と危機にも必ず打ち勝ち、新しい跳躍と平和統一の時代に力強く進みます。
孫基禎選手は日の丸を胸につけて、涙の月桂樹を受けなければなりませんでしたが、今、ブラジルのリオでは、太極旗を胸に抱いた大韓民国国家代表選手たちが、連日勝利のニュースを伝えてきています。私たちの若い選手たちは、誰もがあきらめるような瞬間でも自分を信じて諦めず、世界が感動する奇跡の勝利を生みだしました。
彼らがつくり出す逆転のドラマこそ、「不可能はない」という私たち民族の不屈のDNAを生き生きと見せてくれています。「できる」との自信感を胸に、小さなことから一つひとつ実践しながら、私たちすべてが一緒に歩いていけば、今、私たちの一歩一歩が遠い将来、また再びの偉大な旅程として記録されることでしょう。
私たちすべてが偉大な「大韓国人」であることを胸に深く刻み、力を合わせて希望に満ちた未来へともに進みましょう!
(2016.8.24 民団新聞)