掲載日 : [2021-05-12] 照会数 : 6438
知ってほしい横浜のコリア ユーチューバー河詩織さんに聞く
[ 関内・福富町の「ソウル食堂」 ]
[ 在日3世の河詩織さん ]
食堂や食材店を紹介
「横浜の新大久保」のチャンネル名で、昨年2月からユーチューバーとして桜木町、関内、石川町の韓国料理店や韓国食材店をメーンに紹介している在日韓国人3世の河詩織さん(34)。ハンドルネームは「すーぱーしおたん/SHIORI」だ。本業とかけもちで仕事をこなす。「韓国料理は大好きだけど、それと同時に今、住んでいる横浜の良さを私なりに伝えたいと思った」のが、チャンネルを始めたきっかけの一つだ。
新大久保とは違うディープさ
日本を代表する韓国街は、大阪・生野区「コリアタウン」と東京・新大久保「コリアンタウン」。生野や新大久保のように大規模ではないが全国には三河島(荒川区)や東上野(台東区)、桜本(川崎市)、下関(山口)など、歴史のあるコリアンタウンが点在している。
ユーチューブを始めてから知ったのは、横浜で生まれ育った人でも、地元にコリアンタウンがあることを知らない人が多いということだった。
「今は知らないのが当たり前という感じてやっているが、反響は思っていたよりは良いと思う」。動画を見て足を運んだ人から「新大久保とは違うディープさがある」といったコメントも届いている。
東京・八王子市出身。20歳の時に家族と横浜に越してきた。韓国の大学に留学した河さんは、そこで横浜出身の同胞たちと知り合う。帰日後も関内の福富町などで会っていたという。
当時、仲良くなった韓国料理店のアジュンマから「ここがまた、昔のように栄えるといいな」という話を聞いていた。「いつも楽しませてくれる大切な街だし、アジュンマたちが喜んでくれる手助けができたら」と、ユーチューブを始めた動機を語った。
大学卒業後、銀行勤めを経て、3年前から本業のナチュラルライフアドバイザー講師として、心身共に健康な暮らしをおくるために有機野菜や無添加調味料などを摂取することの大切さなどについて講義を行っている。
現在、ユーチューブに動画を投稿するのは多い時で1週間に2、3回。「週1回の時もあるので安定した収入はまだ、得られていない」が、この仕事にやりがいを感じている。
動画は基本的に自撮り、編集も手がける。ポジティブな印象を与える動画にしたいと、明るい雰囲気で伝えるように心がける。また「お店の味が微妙だったとしても、その微妙だったことを私個人の意見としてとってもらえるような言い方をする」。「全体で見た時に、誰も気持ち悪い感じにならないような動画になるように意識はしている」
動画では、気持ちいい食べっぷりも映し出される。キムチや参鶏湯の食べ比べなどの食レポ動画もあるので、韓国料理の豆知識として参考になりそうだ。
主婦でもある河さんは最初、夫から「うまくいくわけがないと反対された」。だが今は、夫自ら動画に登場するなど、河さんを応援している。
在日韓国人のユーチューバーとして「食の歴史などで素敵な部分は、私の知る限りでは伝えていきたいと思うし、最近は韓国の方も在日の方も見てくれているので、両方にリスペクトを持ちながら発信しなくてはと思う」とし「自分に関わるルーツや家族、地元(住んでいるところ)などを通して、これからも自分が大切にしているものを伝えていければいいなと思っている」
登録者数は着実に増えている。「そういう方の存在は励みになるし視聴者の反応がすぐに分かるのでモチベーションにつながる。末永く続けていきたい」と笑顔で話す。
(2021.5.12 民団新聞)