掲載日 : [2021-06-09] 照会数 : 4387
『渡来系移住民』吉村武彦さんに「渡来文化大賞」
[ 大賞の吉村武彦さん(左) ]
【埼玉】日本高麗浪漫学会・高麗澄雄記念「第3回渡来文化大賞」の授賞式が5月29日、日高市の高麗神社参集殿であった。「研究大賞」は『渡来系移住民~半島・大陸との往来』(岩波書店、2020年3月)の編著者を務めた明治大学名誉教授の吉村武彦さん、「研究奨励賞」は『古墳時代の装飾馬具生産体制』(雄山閣、19年10月)の著者、古川匠さん(京都府教育庁指導部文化財保護課)に贈られた。
『渡来系移住民~半島・大陸との往来』は古墳時代~奈良・平安時代の日本列島における朝鮮・中国などからの人の移住や文物の往来を第一線の研究者5人が考古学、文献史学の立場から論じたもの。選考委員会(鈴木靖民委員長)は「現在の研究の到達点を示している」と高く評価していた。
『古墳時代の装飾馬具生産体制』は4~7世紀、古墳出土の日本と韓半島の馬具、馬装具の成形、生産体制を総合的に分析した論文集。選考委員会は「馬具に打たれる鋲の比較などに独自性がある。今後さらに幅広い研究を期待し、奨励したい」と述べた。
「大賞」受賞の吉村名誉教授は「渡来系移住民とはいままでにない言葉。海を渡って日本に移住してきた人たちという意味で使った。この言葉が定着したらいいと願う」とあいさつした。
(2021.06.09 民団新聞)