掲載日 : [2016-11-16] 照会数 : 4956
<川崎市幸区>格頭抱える善意の開業医…安の留学生宿舎入居者減少に悩む
【神奈川】韓国人のために格安で用意した好立地の「日本生活ガイド留学生会館」が、入居者の減少でいまや存亡の危機に追い込まれている。定員は最大8人だが、現在の入居者は一人だけ。管理者の今井久美雄さん(65、内科いまいクリニック医師)は「部屋探しで困っている学生さんは多いはず。なぜ、伝わらないのか」と頭を抱えている。
JR駅から5分の好立地
留学生会館は川崎市幸区、JR鹿島田駅から徒歩5分の住宅街。1階が今井医師の経営するクリニック。2階に5畳の個室が4部屋、奥には3人が入居できる10畳部屋と共同利用のシャワールーム。3階は台所と食堂。食堂は談話室も兼ねており、20人が一緒になって勉強できるスペースを確保している。
毎月の家賃は4万5000円。このほか、入居時に契約金3万円と各種保険料。地域の相場は6万から6万5000円といわれていることから割安だ。連帯保証人はおろか敷金、礼金も不要。入居にあたってとりあえず必要な生活用品は布団と枕、入浴用品のみ。ただし、病院の決まりで喫煙者は入居できない。
竣工は94年。ソウルの延世大学大学院留学中、現地の医師に世話になったからと、クリニック開業と同時に留学生会館を併設した。当時は民間アパートの入居拒否に困っていた学生も多くいたこともあり、韓国からの留学生や日本駐在員、日本語研修で派遣された新聞社の記者らに需要があった。これまでの入寮者は延べ500人を数える。
しかし、今井さんが仕事に追われて学生を集める時間が取れなくなった2011年ごろから空き部屋が目立つようになった。現在、ワーキングホリデー制度を利用している20代の男性が10畳の部屋を一人で利用している。光熱費を折半する同室者がいないため、負担感も大きいようだ。
今井さんは「留学生ばかりか語学修学生、ワーキングホリデーなどでの短期滞在の学生もOK。あと5年は使ってほしいが、このままいけば閉鎖もありうる」と話している。今井さんへの連絡はkaz@jakonett.com
(2016.11.16 民団新聞)