掲載日 : [2020-12-23] 照会数 : 8414
北韓の人権侵害非難決議 16年連続で採択 国連総会
国連総会(193カ国)は16日、欧州連合(EU)が提出した北韓の人権侵害を強く非難する決議案を議場の総意(コンセンサス方式)により投票なしで採択した。同種の決議採択は2005年から16年連続となる。
決議案は58カ国が共同提案した。韓国は08年から18年まで加わっていたが、19年と今年は名を連ねていない。だが、コンセンサス方式での採択には賛同した。日本も例年はEUと共同で同様の決議案を提出してきたが、昨年に続き決議を支持する「共同提案国」にとどまった。拉致問題解決に向けた糸口を探りたい思惑もあるとみられる。
今回の決議案は欧州連合(EU)加盟国が主導して作成した。全体的にはこれまでの決議の文言をそのまま用い、北韓の人権問題に対する非難や拉致問題の解決を求める表現を昨年より強め、拉致被害者の即時帰還を要求した。
具体的には北韓での ①拷問、性暴力、恣意(しい)的な拘禁 ②政治犯の強制収容所 ③組織的な拉致 ④北韓に送還された脱北者の処遇 ⑤宗教・表現・集会の自由の制約‐などを挙げ、「組織的かつ広範囲な人権侵害」と強く非難した。
こうした実態について、国際刑事裁判所(ICC)に付託するとともに、「最も責任ある者に対する追加制裁の考慮」など適切な措置などを取るよう勧告した。「最も責任ある者」とは事実上、北韓の金正恩国務委員長(朝鮮労働党委員長)を指すと認識される。ICCへの付託と責任者の処罰の勧告は7年連続。
北韓の金星国連大使は「われわれに対する政略的で深刻な挑発だ。断固として反対する」と発言。決議案に記された内容は「脱北者が悪意ででっちあげた情報だ」と主張し拒否すると表明した。
(2020.12.23 民団新聞)