掲載日 : [2017-05-10] 照会数 : 9354
パラリンピックめざす…重度障害の在日3世が母国で洋弓デビュー戦
[ 競技場で李愚公さん ] [ 岩手国体で優勝した実績を認められ、京都府スポーツ賞「優秀賞」を受賞。家族から祝福される ]
【京都】日本国内のアーチェリー大会で活躍めざましい在日3世の重度障害者、李愚公さん(27、京都市北区)が20日、忠清北道清州市で開催される「2017年春季生活体育洋弓大会」に出場することになった。選手としてはこれが事実上の母国デビュー戦となる。韓国国内の大会で実績をあげて、20年パラリンピック韓国代表の座をめざしている。
岩手国体で優勝の実力
大会出場は所用で大邱市を訪問した李さんの才能をいち早く見抜き、個人的につききりでコーチしたこともある河サンスクさんの誘いによる。河さんの「パラリンピックに出場したいのなら、韓国の大会に出て実績を積まなければ」との一言で出場を決意した。
李さんは昨年10月、岩手県で開催された第16回全国障害者スポーツ大会アーチェリー脳性麻痺の部で435点を記録し、見事1位に輝いた。同大会は第71回国民体育大会の終了直後に行われており、「障害者のための国体」という位置づけだ。
この実績が認められて今年3月には京都府スポーツ賞「優秀賞」を山田啓二府知事から贈られた。李さんは「今回の国体で僕に関わってくれた京都の職員の人が推薦してくれたのです。わざわざ韓国人の僕を推薦してくれたことがすごくうれしかったです」と語った。
李さんは生まれてすぐ医師から脳性麻痺と診断された。身体障害者手帳1種2級だ。足や膝、股関節などが麻痺しており一人では自由に移動できない。野球が好きだったが、走るのはもってのほか。すぐ関節が外れてしまうからだ。
高校卒業後、京都市障害者スポーツセンターに通い、「これならできそう」と李さんが選んだのがアーチェリーだった。作業所に通いながら週に2回程度、日本人コーチの指導を受けてきた。数年後には京都市障害者スポーツセンター室内アーチェリー大会で初優勝。以後、同大会では毎年のように優勝ないしは準優勝に輝いてきた。自室には数多くのメダルと賞状が飾られている。
李さんは「世界最高峰の障害者スポーツ大会であるパラリンピック出場が僕の夢。そのためにも清州大会でいい成績を残さなければ」と話している。
(2017.5.10 民団新聞)