掲載日 : [2017-05-24] 照会数 : 9290
<青年会中央本部>差別目的は不許可に…公共施設利用で要望書
[ 東京都庁で要望書を提出する朴裕植青年会中央本部会長 ]
東京都と23区へ
在日本大韓民国青年会中央本部(朴裕植会長)は、15日から22日にかけて東京都庁と都内23区役所を訪れ、人種差別を目的とする公共施設の使用不許可を求める都知事と各区長あての要望書を提出した。ヘイトスピーチ根絶運動の一環だ。都内では、江戸川区が昨年7月、民団江戸川支部(李鍾郁支団長)が江戸川区議会に「民族差別、人種差別を目的とした公共施設利用許可申請に対する適切な措置」を要望し、同年8月からヘイトスピーチ団体に公園を使わせない措置を取っている。
ヘイトスピーチ(差別扇動)デモが頻発する状況を受け、320地方自治体議会が意見書を国に提出し、昨年6月に「ヘイトスピーチ対策法」が成立・施行された。ただし、この法は罰則がない理念法であるのが、難点で、レイシストは公共施設を使用してヘイトスピーチを続けている。
今回、青年会が提出したのは、「人種差別を目的とする公共施設使用不許可を求める要望書」で、具体的な差別禁止措置を盛り込んだ。2020年に東京五輪を控え、国際社会の一員として国際人権基準に則した国籍を超えた寛容な社会をめざし、人権侵害を未然に防ぐためにも「排外主義団体に対する公共施設使用を許可しない断固とした措置」を強く求めている。
15日は中央本部と青年会東京本部(鄭昇栄会長)が港、渋谷、世田谷、杉並、目黒、板橋、中野、葛飾、北、豊島区の10自治体を訪問した。「公園と公共施設を管理する課が同一でないため、回答が遅くなる」という声が多かったが、おおむね今月末に回答するという結果を得た。
16日は新宿、練馬、千代田、中央、江東、台東、墨田区を回った。ある区では、「人権活動の紹介で、区報の人権コラムにヘイトスピーチ反対が盛り込まれている」という成果的な報告があった。また、道路使用に関して「国家公安委員会に要望を出さないのか」という逆提案もあった。
その一方で、「区によって、公園条例がまちまちで、事前確認が必要。ヘイトスピーチが行われいる自治体は、対応が積極的だが、その他の自治体も含めて条例化には積極性が見られない」というのが、活動者の率直な意見だった。
17日は東京都庁を訪ねた。公園課はサービスセンターにヘイトスピーチ反対のポスターを配り、集会でも注意喚起するなど、都民に啓発していると回答した。人権部はイベントなどでヘイトスピーチ反対のパネル展示など、啓発を積極的に行ってきたと語った。また、小池百合子都知事が昨年10月の都議会で「ヘイトスピーチは許されない」と発言したことも紹介。都として各局で調整し、条例化について回答すると答えた。
荒川区は区内に朝鮮学校があるが、これまではヘイトスピーチがなかった。今後については、留意していると回答した。
青年会では5月末からの「地方活性化キャラバン」に合わせて、16地方本部でも同様の要望活動に着手することを検討している。朴会長は「現段階では、自治体は啓発に力点が置かれており、目に見える形のヘイトスピーチ根絶には遠い。今後とも人権担当者と緊密に連絡を取り合いながら、地道に活動を展開していく」と語った。
(2017.5.24 民団新聞)