掲載日 : [2021-09-30] 照会数 : 2541
土中に埋もれ既に78年…民団鳥取、荒金鉱山罹災者を慰霊
[ 祭文を読む黄龍也団長 ]
【鳥取】第2次大戦中の1943年9月10日に発生した鳥取大地震で犠牲となった同胞と日本人65人を慰霊する民団鳥取本部(黄龍也団長)主催の79回忌祭典が10日、地域住民らの見守るなか、岩見町荒金の旧荒金鉱山で営まれた。亡くなった同胞28人は日本の植民地統治下で強制動員された。遺体の多くは今も土中に眠っている。
村々に正午を告げる時報の音楽とともに県内を拠点とする民族音楽ユニット「トウルリム」が打楽器で鎮魂の調べを披露。黄団長が「異国の地で落命された方々の無念を思うと、今も胸が詰まる。心からご冥福を祈ります」との祭文を読み上げ、参加者全員が菊の花を献花した。
最後に薛幸夫常任顧問が謝辞に立ち、「未だ発掘されず、土中に放置されたままの同胞罹災者の遺体を発掘し、本名とウリマルで迎えたい」と述べた。
大地震発生時、荒金鉱山では堆積所のえん堤が決壊し、約4万3000立法㍍の鉱滓・鉱泥が下流部の鉱山住宅や同胞の住む集落を飲み込んだ。
薛常任顧問は「洪水と地震の違いはあるが、熱海の『盛り土』と同様ではないか」と荒金鉱山で銅を採取した日本鉱業(当時)による管理責任を指摘した。式次第は例年に比べ半分ほどの規模に縮小されたが、コロナ禍を押しのけ地域住民ら60人近くが参加した。
(2021.09.29 民団新聞)