「コロナ禍」打開 団結と連帯で…2022年各界の新春メッセージ(1)
民団中央本部議長 朴安淳
基本活動に専念…組織の円滑運営強化へ
輝かしい新年を迎え皆様のご多幸とご繁栄を心よりお祈り申し上げます。また、日頃から在日同胞社会のため、そして地域社会との交流発展に努めている皆様に心から敬意を表します。
現在コロナウィルス感染症の影響により、人が集まる機会が制限され、多くの経済活動が停滞し、在日同胞の生活や事業にも深刻な被害が及んでいます。韓国をはじめ世界との行き来すら制限されています。
私達在日同胞は100年以上の歴史を持ち、民団も創団75年が経過しました。民団組織を取り巻く環境も世代交代、少子高齢化、日本国籍者、新規定住者の増加により大きく変化してきました。
この大きな変化の中で、次世代育成、組織幹部養成、自立財源確立など緊急を要する課題は少なくありません。この75年の間、在日同胞社会にはいろいろな問題、差別が山ほどありました。
しかし、先人達が民団を中心として自ら先頭に立ち、知恵を集め、汗をかき、資金を出し合い、多くの困難を克服して多くの権利を勝ち取り、差別を徐々になくしてきました。
私たちの願いは日本社会で在日同胞としての生活と権利が守られ、地域社会に貢献する1人として堂々と生きていけることです。そのためにも韓国と日本、それぞれの国と国民が尊敬し、信頼しあう関係でなければなりません。
しかしこの数年間、韓日関係は1965年の国交正常化以来、最悪と言われる状態にあります。そうした中でも、日本の若者がK‐POPを愛し、ご婦人たちが韓流ドラマに夢中になり、韓国カルチャーが世界中で高い評価を受けているのは嬉しい限りです。
民団は同胞の尊厳と権利を守るために執行・議決・監察3機関制度のシステムと理論的、精神的に支える宣言、規約を作り、独断を許さず、民主的な運営を行い、公正性を守ってきました。
一刻も早く第55回定期大会をめぐる混乱を収拾し、本団の目的に集中する活動に専念し、本団の存在意義を一層高めることが切望されています。
そのために引き続き執行機関、監察機関と相互尊重のもとに協力を推進し、組織の円滑運営・強化へ中央議決機関の役割をしっかり果たしていく所存であります。
民団中央本部監察委員長 金春植
団員の生活を守るため、最善の努力尽くす
謹んで、新年のご挨拶を申し上げます。一昨年から続く新型コロナ禍のパンデミックにより、世界はいまだに終息への出口が見えない状態にあります。在日同胞社会も例外ではなく、広範囲な影響を受けています。
コロナ禍の大変厳しい中、全国の民団組織幹部は様々な活動を積極的に行い、団員の生命と生活を守るため、最善の努力をされました。
今後も民団はコロナ禍の影響を最小限に押さえ、団員の生命と生活を守ることを最優先に取り組まなくてはなりません。心から敬意を表します。
現在、韓日関係は戦後最悪と言われる状況にあります。
韓日関係の悪化は民団が長年築いてきた韓日友好の懸け橋としての草の根運動が無に帰することを意味し、日本における多文化共生社会実現に危険信号がともる事をも意味します。真に心配でなりません。
民団中央は2月に第55回定期中央大会を開催し、新3機関長選出を創団75年で初めて郵便投票という形式で行いました。
団員皆様ご承知のとおり特に、団長選出においては前代未聞の混乱に混乱を重ね、4月6日に新3機関長が正式に選出されました。
その後も混乱が継続していることに三機関長の一人として団員皆様に衷心よりお詫び申し上げます。
監察委員会は不羈独立、厳正中立、公明正大の基本理念に基づき、規約に則り2機関に対して是々非々の姿勢で、団員の知る権利、開かれた民主的な組織運営がなされるよう最大限の努力をしてきましたし、今後もこの姿勢で望む所存です。
団員皆様のご理解とご支援をお願いする次第です。
2022年は、36年に一度訪れる「五黄の寅年」で運勢が最強の年と言わてれおります。団員皆様におかれまして幸多い年であることを祈念し、新年辞といたします。
追って、新年には本国で第20代大統領選挙があります。皆様の積極的な投票をお願い申し上げます。
在日韓国婦人会中央本部会長 劉代永
人が集まるをモットーに
新しい年が明けました。本年が実り多い良い一年になるよう全国会員の皆様と共に願いを込めます。
停滞していた緒般事業は昨年も新型コロナの影響により縮小はしましたが「人と人が会う、人が集まる」をモットーに、大研修会も6月2日から6月30日にわたって、全国7ブロックで開催しました。さらに、秋季には11月21日から11月27日まで、東西の2カ所で開催しました。
一人の落伍者もなく無事終了出来ましたのも、会員一人ひとりの研修会に臨む真摯な姿勢とご協力の賜物と感謝申し上げます。
また、会長立候補時の公約は粛々と実行しています。全国会長会議も年一回ではありますが、できる限りの時間を執り活発な意見交換が見られます。規約修正委員会も第36回中央委員会までに3回を数えます。
韓日関係は厳しい状況ではありますが婦人会は地域社会と共生し、草の根運動の積み重ね等、これこそが未来志向的な韓日関係を増進ためにも婦人会が懸け橋としての役割を果たしていきます。
失敗を恐れては何も出来ません。今年も民団と歩調を合わせ、会員皆様と一丸となり婦人会組織発展に邁進して行く所存です。
皆様にとって希望に満ちた良き年になりますようお祈り申し上げます。
在日本大韓体育会会長 崔相英
次世代選手育成に注力
新型コロナウイルス感染に伴う1年の延期を経て、2020東京五輪が無事に開催されました。
本会は韓国選手団の活動を全面的にサポート、韓国国体への出場をきっかけに韓国代表へと登りつめ、在日から東京五輪に出場した柔道の安昌林、金知秀選手の応援に力を注ぎました。
安昌林選手は2016リオ五輪に在日から1988ソウル五輪以来28年ぶりとなる五輪出場を果たし、今回は銅メダル。在日同胞として45年ぶり4人目のメダル獲得という快挙を成し遂げてくれました。
彼らの活躍に刺激を受けた多くの在日のアスリートが、祖国で韓国代表を目指す機運が高まっています。いつの世もスポーツは人々に夢や希望を与え、活気をもたらしてくれる存在です。パリ五輪まであと2年。これからも本会は、太極旗を胸につけ、世界の舞台で活躍する在日選手を一人でも多く輩出できるよう全力で取り組みます。
本年も皆さまのご支援ご声援を宜しくお願い申し上げます。
在日韓国商工会議所会長 趙成允
60年の伝統を未来へ
2022年の輝かしい新春を迎え、謹んで新年のお慶びを申し上げます。
在日同胞の皆様におかれましては、地域社会の経済発展と在日同胞社会との関係強化、また韓日関係の発展にご尽力を賜り、年頭に当たり厚く御礼申しあげます。
新型コロナウィルス感染症による様々な障壁は依然残るものの、我々はこの難局を乗り越えていかなければなりません。
2022年の干支である壬寅は、冬が厳しいほど、春の芽吹きは生命力にあふれ、華々しく生まれる年と言われております。本年、未曾有の厳しい冬を乗り越え、新しい成長の礎を築いていける様、我々も在日同胞社会の一翼を担う経済団体としての役割を果たしてまいります。
当会議所は本年、1962年の創立から60周年を迎えることになりました。これもひとえに皆様方のご厚情、ご支援の賜物と心より感謝申し上げます。先人達から継承されている、伝統を重んじ、未来に向かって道を切り開く崇高な精神を胸に、当会議所は今後も地方韓商の集合体として、会員企業の事業の持続的な発展に貢献できるよう尽力いたします。
本年が皆様にとって幸多き年となりますようお祈り申し上げます。
在日韓国青年会中央本部会長 鄭昇栄
学び、考え、発信し新時代を
2022年の新しい年を迎え新春のご挨拶を申し上げます。
平素は青年会中央本部に対し格別なるご支援とご厚情を賜り、心より御礼申し上げます。
新型コロナウイルスがまだまだ落ち着きを見せない中、私たち青年会は、苦しい状況下だからこそ、ピンチをチャンスに変える活動に取り組んでまいりました。
近年、青年会内でも高齢化が続いておりましたが、昨年はオンラインを中心とした幹部活動者研修や久方ぶりに対面形式で開催した連帯事業の成果もあり、10代、20代が多く集う若返りを見せました。次世代を担う青年世代として、このつながりを閉ざさぬよう、2022年も全国一丸となって活動に取り組んでまいります。
青年会は同じ境遇の仲間を作り、みなさんと共にたくさんの事にチャレンジしていけるような会にします。責任世代を担う私たちが積極的に学び・考え・発信し、新時代を築いていきます。
みなさま、共に協力し、共に乗り越えていきましょう。そして、未来を私たちの手でつなげていきましょう。
在日学徒義勇軍同志会会長 王正男
愛国精神と護国精神、永遠に
1950年6月25日、北韓軍の侵略により勃発した韓国戦争でわが在日同胞の青年学徒642人が参戦し、135人の尊い命が犠牲となりました。仁川上陸作戦及び中西部戦線で戦死した52人の遺骨は1963年にソウル国立墓地に移葬されましたが、中国人民志願軍と初めて交戦した長津湖戦闘に米軍第7師団に配属されて参戦した学徒同志の中で戦死した83人は残念ながら遺骨さえ発見出来ませんでした。
ところが、幸いにも去る2021年9月24日、米ハワイを通じて米軍7師団所属の国軍遺骨残骸68体が韓国に送還されてきており、戦死者遺族を捜しています。もし、周辺に遺族の方々がいらっしゃったら、民団または在日学徒義勇軍同支会にご連絡くださいますようお願い申し上げます。
祖国があってこそ自分も存在するという一念で自由大韓民国の為に高貴な命を懸けて共産主義と戦った在日学徒義勇軍の愛国精神と護国精神は永遠に不滅であることを後世にしっかり伝えていきましょう。
在日韓国学生会中央本部会長 閔秀智
「心の繋がり」大切に
2021年度、学生会中央は「誰でも溶け込みやすく、また来たいと思ってくれる場をつくり、韓日のルーツを持つ私たちにしか作れない学生会にしよう」をスローガンに取り組んで参りました。
私たちの進みたい方向とは逆のコロナ禍という厳しい環境と向き合いながら、オンラインイベントを行うなどの行動してきました。
思い通りにいかなかった悔しさは残りますが、緊急事態宣言が明けてからのイベントには今までの空白期間を埋めるように多くの学生たちが戻ってきてくれました。周りのみなさんが目に見えない部分でも在日韓国人や留学生とのネットワークを繋ぎ保っていたおかげだと思います。
私はこのことから、心の中で繋がりあえる私たちにしかない力というものがあると確信し、それを知り、感じてもらえるきっかけを提供できるのが学生会だと感じました。これからも在日同胞の歴史と次世代をつなぐ立場として、韓国のルーツをもつ全ての方との繋がりを大切にしていきます。
在日韓国科学技術者協会会長 洪政國
夢をかなえる科学技術
科学技術は私たちの安全や身の回りの利便性、快適さ、効率の良さなどを高めて「夢のような」生活を実現しています。
新型コロナウイルス感染症の脅威から私たちの生活や生命を守り、安心と未来への希望を抱かせてくれた新型ワクチン、「mRNAワクチン」の登場は、最先端基礎科学と最新医療技術が結びついて発露したものです。
科学技術が人類の夢をまた一つかなえたのです。
「地球から月へ」がSFで語られて100年後、アポロ11号で人類が初めて月面に降り立つ「夢」をかなえました。
TVは登場して30年後に全ての世帯に普及し、携帯電話は10年以内で瞬く間に普及して「夢のような」社会を造り出しました。
科学技術の進歩と社会への普及は速度を上げて様々な「夢」をかなえています。「夢」を見るのも、「夢」をかなえるのも「ヒト」です。まず素晴らしい「夢」を持ちましょう。
本協会は人類共通の「夢」、韓国人の「夢」、在日同胞の「夢」を共有し、その実現のためにフロント・ランナーとして役割を果たします。
在日韓国人法曹フォーラム会長 殷勇基
歴史修正主義に対抗
新型コロナウィルスは、世界の人びとが同じ脅威に直面し、解決を模索し、連帯して行動しなければならない課題です。
性的、性志向・性自認、宗教的、障がいの有無など、多様な少数者(マイノリティ)、なかでも人種的民族的少数者に対する差別、人種主義を克服して、権利を擁護を図る、という課題も、同じ性質の世界的な課題です。
人種主義、植民地主義、歴史修正主義は相互に関連しており、これらを打破しなければ、ヘイトスピーチ、ヘイトクライム、インターネットにおける人種的民族的偏見の流布、公務就任権、参政権、入管法、国籍法など、在日韓国人に関わる諸問題を解決することはできません。
法曹フォーラムは人権擁護委員会と共催で、昨年も人権セミナーを開催しました。関東大震災時の同胞虐殺という歴史的事実を歪曲する歴史修正主義に、理性と事実によって対抗するものです。
今年一年も、民団が日本における有数の人種的民族的マイノリティの団体としてその役割を果たせるよう、法曹フォーラム所属弁護士も微力を尽くす所存です。
(2022.01.01 民団新聞)