掲載日 : [2022-01-19] 照会数 : 7121
「21世紀の責任世代に」各地民団で新成人を祝う
[ 駐日韓国大使館内で開かれた大使館と民団東京本部共催の式典に参加した新成人たち ] [ あでやかな韓服姿で笑顔を見せる新成人たち(大阪) ] [ 田虓玔団長を前に答辞を読む金珠弥さん(埼玉) ] [ 会場には来賓と保護者合わせて32人が参席(京都) ]
10日の「成人の日」を前後して、在日韓国人の新成人を祝う式典が各地の民団で開催された。オミクロンの拡大など、新型コロナウイルスの感染者が1月に入って再び増加し、各地では感染対策を講じながら、新成人は仲間との再会を喜び、決意を新たにした。
東京は9日、駐日韓国大使館と民団東京本部が共催して韓国大使館本館ホールで行われた。参加したのは39人だった。会場はソーシャルディスタンスのため椅子だけを配置した。
主催者を代表して姜昌一大使と李壽源団長がそれぞれ祝辞。姜昌一大使は映像を通して、「成人を迎え、より広い世界への期待感の一方で、競争社会に足を踏み入れることを意味し、社会の一員としての役割と責任を全うしていくことが求められる」としながら、「最近、全世界で韓流ブームが起き、文化先進国としての基板を固めている。皆さんは民族のプライドを持ち、その文化を継承していく、最も重要な未来の一員として堂々と歩んでほしい」とエールを送った。
李団長は「皆さんは新たな出会いが広がっていくが、大切なのは相手との信頼関係をいかに築くかだ。差別や偏見と闘いながら今日の基盤を築き上げた1世、2世たちの歴史をしっかり知り、在日としての自覚と誇りを持ち社会の模範となるような人になってほしい」と期待を寄せた。
あわせて来月23日に投票が始まる第20代韓国大統領選挙・在外投票への積極参加を呼びかけた。
このあと、劉永鉉さんと朴賀硯さんに民団から高級ボールペンとデジタルフォトフレーム、大使館からは名刺ケースがそれぞれ贈られ、李嘉睿さんが新成人を代表して「新成人として第一歩を踏み出すにあたり、韓国語をはじめ、祖国の歴史と伝統文化、在日同胞の歴史を学び、21世紀の責任世代として、日本地域社会で積極的に活動し、在日同胞社会と祖国の発展に寄与していく」と決意を述べた。
10日の「成人の日」を前後して民団本部主催の式典が東京以外にも各地で行われた。
友好の懸け橋に
民団大阪本部では16日、新成人60人が参加して式典が開かれた。
主催者を代表して李元徹団長が「皆さんは今後、困難にぶつかることもあると思うが、自身の夢、目標の達成に向かって、積極的にチャレンジして」と述べ、「韓日友好の懸け橋となる真の国際人としての活躍を願っている」と期待を寄せた。
駐大阪韓国総領事館の趙成烈総領事は「皆さんは在日同胞社会のみならず大韓民国の大切な財産。韓日の友好と地域社会の発展、世界平和と繁栄に貢献する開かれた人材として成長していくことを期待している」と激励した。
新成人を代表して姜山河さん(関西外語大学2回生)が「韓国と日本の懸け橋となり、在日同胞社会の発展に貢献していく」と答辞を述べた。
式典後はカンフー、テコンドーの演武が披露された。会場には婦人会大阪本部の朴米子会長、大阪韓国商工会議所の洪致原会長、大阪府府民文化部人権局の井上慎一人権擁護課長、大阪市こども青少年局企画部青少年課の野間田肇課長らも参席した。
民団京都本部(金政弘団長)は9日、京都市内のホテルに左京、南、南京都、丹波の各支部に所属する新成人8人を迎え、記念式典を行った。
金団長は「想像の限界が創造の限界という。つまり、みなさん一人ひとりが思い描いたこと以外は現実にならないということ。大きな夢とビジョンを持って、これからの人生頑張っていただきたい」と激励。祝賀品と記念品を手渡した。
新成人を代表して李淳伊さん(南京都支部)が「どんなときも自らの意思で、自らの判断で大きな壁を乗り越え、自分にしか進めない道を歩んでいく」とした「誓いの言葉」を韓国語で述べた。会場には来賓と保護者合わせて32人が参席。代表して薛裕進領事が趙成烈総領事の祝辞を代読した。
青年兵庫会本部(宋太揮会長)が主管して9日、兵庫韓国文化教育院で開催。新成人12人が出席した。
主催者でもある民団兵庫本部の金泰煥団長があいさつ。新成人を代表して柳川玲黎さんが「自らの意思で、自らの判断で大きな壁を乗り越え、自分にしか進めない道を歩んでいく」とする誓いの言葉を述べた。
式典を終えると別の会場に移り、祝賀懇親会を楽しんだ。
民団愛知本部(朴茂安団長)は8日、名古屋市内のホテルで開催。今年度の新成人16人に加え、コロナ禍で延期していた昨年の該当者5人も招いて合同で祝った。
朴団長は「みなさんは韓半島にルーツを持つ同じ年代の同胞であり、国籍や境遇は様々でも仲間どうし。今日の新成人祝賀セレモニーがよりよき絆を構築できる場になることを願っている」と期待を寄せた。
新成人を代表、金美諭さんが「夢に向かって立ち止まらず、自分の可能性を信じてどんなに大きな壁でも乗り越えていきたい」と決意を述べた。
新成人は小学生のころから民団主催のキャンプ、ジャンボリー、サマースクールなどのオリニ行事に参加した人が多く、久々の再会を喜んでいた。
この日、事前に用意していた両親への感謝の手紙を一人ずつ朗読した。
会場には新成人の家族をはじめ駐名古屋総領事館の金承煥領事、各傘下団体長、支団長など75人が参加した。
民団埼玉本部(田虓玔団長)は8日、さいたま市浦和区の埼玉韓国会館で新成人の女性2人の門出を祝った。2人は同本部のオリニ学校出身。2人を幼少期から見てきた同本部の景民杓常任顧問は「みんな大きくなったね」と感慨深げな表情で。
金珠弥さんは武蔵野佐音楽大学声楽家で学ぶ。新定住のオモニの腕に抱かれ、零歳の時から民団のオリニ学校に出入りしてきた。家での日常言語は韓国語。弁論大会ではこれまで2回にわたって準優勝したほど。卒業後は東京芸大大学院進学とイタリアへの留学が目標。
金美歌さんは目白大学韓国語学科に在学中。オリニ学校には小学校5年生のときから通ってきた。高校生になって韓国のアイドルグループのことが好きになり、それまで読むだけだった韓国語を独学で学びなおすようになった。将来は韓国語の能力を生かし、翻訳業務につくことをめざしている。
田団長は「なにごともチャレンジ。たとえ失敗しても、なにもしないで悔やむよりは得るものがある」と祝辞を述べた。
◆対象者に記念品…愛媛
民団愛媛本部(朴鐘東団長)は新成人に本名の印鑑、螺鈿名刺入れなどの記念品を送った。対象者は10人。新型コロナウイルスが蔓延していることから、式典そのものの開催は見送った。
(2022.01.19 民団新聞)