創団75周年を迎えるあたり、①韓日友好親善②同胞の生活と権益守護③次世代育成の3大重点課業と、①組織基盤強化と同胞社会の和合②組織力量の強化③韓半島の平和寄与の3つの重点方針を掲げた2021年。しかし、2年越しに続く、コロナ禍の影響で、多くの行事や事業が中止・延期・規模縮小の状態を余儀なくされた。次世代育成イベントのシンボルでもあるオリニジャンボリーと中・高校・大学生の母国訪問研修も2年連続で中止に追い込まれた。
13回目を迎えた韓日祝祭ハンマダン(日韓交流おまつり)も昨年に続くオンライン方式での開催となった。
しかし、前年の経験を生かし、各地方本部と支部、そして傘下団体はネットを活用したアプリを駆使してオンラインとオフラインを合わせたハイブリッド形式でイベントや会議などを展開した。あわせて、10月に緊急事態宣言が全国的に解除されたことに伴い、各地方と傘下団体が一斉に対面形式に転換し、この2年分の「再会の場」で同胞たちの笑顔が戻り始めた。
婦人会では6月に約2年ぶりとなる全国大研修会を開催、青年会も11月に第33回「コリアン・ユース・アカデミー」(KYA)を対面形式で開催し、再会を喜び合った。
また、中央本部のメンバーが加勢した集中活動、「ネットワークを作ろう!家庭訪問活動」を香川、奈良で展開したほか、各地方がコロナ禍の団員の安否確認と激励する訪問活動も展開された。
「腹割って話し合って」…両国政府に強く要請
民団中央本部と東京本部は1月12日、東京都内のホテルで2021年度中央新年会を開催した。コロナ禍の中、感染防止に細心の対策を施し、参加者も首都圏の民団幹部や傘下団体役員、日本の国会議員など、例年の3分の1ないし4分の1にあたる150人と、規模を大幅に縮小した。テーマは「韓日友好」。あいさつに立った呂健二団長は「両国政府は相手への理解と尊敬の念を抱いて腹を割って話し合ってほしい」と強く要請した上で「今年1年は正念場。皆さんと共に民間交流の先頭に立つ」と決意を披露した。
中央委・大会 初の書面決議
民団の第75回定期中央委員会が2月26日、東京・港区の韓国中央会館で書面決議で開かれた。郵送で届いた書面決議書は中央委員在籍198人中165人の参与で成立。2020年度の活動を総括するとともに、①韓日友好親善②同胞の生活と権益守護③次世代育成の3大重点課業と▽組織基盤強化と同胞社会和合▽韓半島の平和寄与の5大方針を柱にした新年度活動方針案を原案通り採択した。この模様はライブ配信された。
本年度活動方針を修正
新型コロナウイルス感染拡大の「第4波」が猛威を振るい、3度目の非常事態宣言発出によって、民団中央本部では執行委員会などを通じオリニジャンボリーの開催見送りや各種行事の見直しなど、新年度活動方針を再検討すると共に、当面の行事や活動方向を修正した。1泊2日のリーダー育成スクール(組織学院)も特別措置として短日開催とした。
中央執行部スタート
2度にわたって休会していた民団の第55回定期中央大会が4月6日、韓国中央会館8階大ホールで続会され(写真)、この席で選挙管理委員会(辛容祥委員長)は改めて、団長に立候補していた任泰洙副団長の立候補登録を取り消し、呂健二前団長の無投票当選を宣言した。3機関長ともに単一候補者となったことで、団長に呂健二候補、議長に朴安淳候補、監察委員長に金春植候補が選出されたことを宣言した。
ヘイトS対策法から5年
日本初の反人種差別法「ヘイトスピーチ対策法」の施行から5年を迎えるのを前に5月26日、日本における「差別禁止法の現段階」をテーマとしたオンライン集会と「人種差別撤廃基本法を求める議員連盟」の主催する院内集会が相次いで開かれた。両集会での報告から国と地方における進展と課題をまとめた。
福島県沖地震、同胞の家屋にも被害
2月13日に福島県沖で発生し最大震度6強の揺れを観測した地震で、福島県や宮城県の民団や同胞の家屋や事業所にも影響が広がった。民団福島本部会館は1階に店舗を構えるあすか信用組合郡山支店、2階の民団本部事務所内は事務機器や家具が倒壊し、一時は停電状態となったが翌日朝には復旧した。事務局では翌日早朝に孫哲鎬団長をはじめ職員全員が出勤し団員の安否確認を続けた。人命に関わる大きな事故はないが、団員の自宅、営業店舗等に被害が出た。
中崎はな保育園開園
社会福祉法人ハナ集いの家「中崎はな保育園」(呉龍浩理事長)が3月24日、大阪市北区の大阪韓国人会館の隣接地で竣工し、開園した4月1日に入園式を開催した。0歳から3歳児までの乳幼児37人が入園した。同保育園の開園は大阪市北区が喫緊の課題としてきた待機児童解消の一助につながり、地域にとっても朗報となった。
東京韓学土曜学校修了生1万人突破
東京韓国学校附設「土曜学校」の修了生が1993年の開設以来、1万人を突破した。同校「土曜学校」は都内の在日韓国人を対象とした民族教育の中心的な役割を果たしている。幼稚クラスでは毎年200人を超える幼児たちが学び、就学年齢に達すると、その大半は同校に進学する。進学に間に合わなかった児童も1、2年で編入学をめざすという。
2年ぶり婦人会大研修会、再会喜ぶ
「在日韓国女性の方向性と役割セミナー」と題した、婦人会(劉代永中央会長)の全国大研修会が6月2日の九州・中国・四国地区を皮切りに中北、近畿、関東、東北と続き、全国7ブロックで500人余りが参加した。事実上、2年ぶりの地協別開催とあって、参加した会員らは久方ぶりの再会を喜び合うと共に、各地域同士の情報を交換しあった。また、11月には東地区と西地区の2ブロックで秋季全国大研修会を開催した。
京都国際が春夏連続甲子園 夏は4強
京都国際高校が春夏連続で甲子園に初出場。夏の甲子園では4強入りという、聖地に新たな記録と記憶を刻んだ。勝利のあと球場に響いた韓国語の校歌は全国の同胞を感激させた。京都国際学園の李隆男理事長と朴慶洙校長は「全国の団員の声援に感謝しています」とメッセージを寄せた。
安昌林、五輪銅メダル…在日選手45年ぶり
東京五輪の柔道男子73キロ級が7月26日、日本武道館で行われ、在日3世の安昌林(27)が3位決定戦で、アゼルバイジャンの選手を終了7秒前に背負い投げで「技あり」を奪い、銅メダルを獲得した。在日同胞としてのメダル獲得は朴英哲が銅(76年モントリオール)を獲得して以来、45年ぶりとなる。安昌林は京都市から「京都市スポーツ最高栄誉賞」を受けることになった。
張明夫投手の生涯映画化
韓国プロ野球黎明期の83年に三美ス‐パースターズ(当時)に入団し、30勝16敗6セーブという驚異的な成績で最多勝を獲得した在日同胞、張明夫投手(日本での登録名は福士敬章)の生涯をテーマとしたドキュメンタリー映画「玄界灘の落ち葉」の撮影が進んでいる。作品を企画した李泳坤さん(28)は張選手の人生を通して、在日の献身的な祖国愛を思い起こすきっかけにしていきたいと、日本留学中に手掛けたテーマをもとに続編として再取材している。
コロナ克服ヘイト根絶、光復節で誓う
民団の第76周年光復節中央記念式典は8月15日、東京都江東区の「ティアラこうとう」で開催した。新型コロナウイルス感染防止を踏まえ、規模を大幅縮小し、参加対象を制限し、キャパシティ1300人のホールに約230人が参加した。昨年に続き、日本各政党国会議員の招待も取りやめ、恒例となっていた芸能公演や大抽選会も中止にし、45分ほどの式典だけで閉幕した。式典ではコロナ危機を克服しヘイトスピーチ根絶などの決議文を採択した。
「感謝します」在日外国人にも接種開放
民団のコロナワクチンの職域接種が9月11日から民団中央会館で行われ、土日の8日間、在日同胞だけでなく、都内をはじめ、神奈川や埼玉、千葉の各県などから日本人と留学生や定住外国人も含む多くの人々が接種にかけつけた。民団は、古くから「多文化共生社会の実現」や「日本地域社会への貢献」を唱え、阪神・淡路大震災や東日本大震災に際しての避難所での炊き出し、救援物資配布などの救援活動を展開してきたが、今回もワクチン接種を通じて、国境を越えた助け合いの精神を遺憾なく発揮した。
オンラインで活動者研修
青年会中央本部(鄭昇栄会長)は10月3日、東京の韓国中央会館会議室で第3回幹部活動者ワークショップを開催した。新型コロナウイルスの関係で5月の第1回、7月の第2回と同様、会場には中央常任と東京が参加し、オンライン会議システムの「Zoom」を活用し、ハイブリッド形式で開催した。地方本部からは幹部ら15人が参加した。
2年ぶりボウリングで交流拡大
写真上は東京本部団長杯ボウリング大会
下は在日本大韓ボウリング協会の公式大会
民団東京本部(李壽源団長)の第16回団長杯争奪ボウリング大会が10月16日、港区の東京ポートボウルで行われ、民団各支部をはじめ傘下団体や各機関から老若男女約140人が熱投した。昨年はやむなく中止を余儀なくされたが、緊急事態宣言が解除されたこともあり、2年ぶりの開催にこぎ着けた。また、在日本大韓ボウリング協会(韓新悟会長)も12月4日、2年ぶりとなる同協会の公式大会を開催した。
「会えなくても共に」オンライン韓日祝祭
写真上はK-POPコンサート、下はクイズ大会決勝
韓国人と日本人がひとつになって作り上げていく最大規模の韓日交流イベント「第13回韓日祝祭ハンマダン(日韓交流おまつり)」が9月11日、新型コロナウイルスの関係で昨年に続いて、オンラインで開催された。今年のスローガンは「会えなくても共に歩もう」で、昨年よりコンテンツをパワーアップし、オンラインで視聴者が参加できるプログラムも多く用意した。
全国の仲間、一堂に2年ぶり対面KYA
青年会(鄭昇栄中央会長)を担っていく多様な人材の育成を目的とした第33回「コリアン・ユース・アカデミー」(KYA)が11月6、7の両日、愛知県名古屋市内のホテルで開かれた。昨年は新型コロナウイルス感染拡大のため中止、今年6月の第32回はZoomを活用したオンラインとオフラインのハイブリッド形式。緊急事態宣言の全面解除により2年ぶりに全国の仲間が一堂に集い、対面方式での開催となったことで、待ちわびていたかのように、定員の50人をこえる65人の青年が参加した。
宣言解除で集中家庭訪問再開
10月1日に新型コロナウイルス感染症・緊急事態解除宣言が全国的に解除されたことから、香川本部は10月5日までの4日間、奈良本部でも11月29日までの3日間「ネットワークを作ろう!家庭訪問活動」を実施した。昨年から続くコロナ禍の影響で行事が中止または延期となり、団員と同胞たちの把握を図るとともに、慰労と激励も兼ねて団員と顔を合わせることを目的に集中活動に踏み切った
(写真上は香川、下は奈良)。
長崎原爆同胞慰霊碑除幕 民団の努力実る
長崎への原爆投下で犠牲になった韓国人を追悼する慰霊碑が長崎市の平和公園に建立され、11月6日に除幕式と慰霊祭が執り行われた。原爆同胞犠牲者を慰霊する碑は広島には建立されたが、長崎には建てられなかった。建立へ動き出した94年から、実に27年を経てようやく実現した。
組織学院も2年ぶり
在日同胞リーダー育成スクール(組織学院)が10月から12月にかけて石川、大阪、中央、奈良、神奈川の5教室で開かれた。同学院は本来、1泊2日の日程で行われていたが、新型コロナウイルス感染防止対策として、今年に限って1日限りの開催という特別措置がとられた。とくに大阪教室では過去最多の84人が受講し、79人が修了した。
対面の研修会、相次ぎ再開
新型コロナウイルス感染拡大防止の緊急事態宣言が解除されてから1カ月余り、民団社会でも待ちわびていたように東京、大阪など各地方本部や婦人会などが、対面による研修会を開催し、「学び実践する組織」へと進み出した。東京本部の2021在日同胞社会リーダーフォーラム(組織幹部研修会)は10月14日、神奈川県箱根町に140人余りが参加、大阪本部の「組織幹部研修会」を10月13、14の両日、広島市内の広島韓国人会館で開催した。
(2021.12.22 民団新聞)