掲載日 : [2017-01-26] 照会数 : 7345
<各界の声>地道な相互理解こそ…慰安婦少女像問題
「慰安婦問題」で韓日関係が暗転し始めた。呉公太中央団長が1月12日の新年会で発言した「釜山の少女像問題を含む問題解決」についての言及に大きな賛否の声もある。在日韓国人や日本人はどう思っているのだろうか。
■□
本末転倒の長期化危惧
文光秀(会社員)
韓日両国の国家間の将来がかかっているだけに、早急に解決したいという呉公太団長の強い思いを支持する。韓日関係が冷え込めば、客足が止まると嘆く同胞焼肉店主の声は切実だ。団長の真意を支部レベルまで拡散してほしいとも言っていた。
「韓日合意」があるにもかかわらず、「慰安婦少女像」によって慰安婦問題の解決そのものを長引かせてはならない。それでは本末転倒だ。
さらに、この問題で韓日関係が悪化すれば、せっかく「ヘイト対策法」の施行で露骨な差別扇動行為が少なくなってきたのに、また嫌韓感情の高揚やヘイトスピーチが再燃するのではないかと危惧する。
この間の民団をはじめとした在日同胞や日本人の努力が決して水の泡になってはならない。本国国民の冷静な対応を望む。
■□
一旦移設し冷静に議論
金展克(会社員)
34人の元慰安婦の方々が「和解・癒やし財団」の支給を受け入れられた以上、2015年末の韓日合意は堅持すべきであり、市民社会の冷静な議論を促す為にも、釜山の少女像は一旦撤去又は移設が好ましい。
その上で、両国の友好関係を前提に、韓国政府から戦時性暴力の問題に対して両政府が啓発活動に取り組む協同事業を提案し、市民社会の理解を地道に求めてゆく方向で、慰安婦問題の完全解決を目指すのがよいかと考える。
■□
弱者攻撃に声あげよう
張界満弁護士
「ハンメは部屋に来んといて」。ハルモニを友だちに見られたら自分も朝鮮人だと馬鹿にされる。恐怖からでた言葉だ。
「在日は最大の被害者」「息を殺して生きなければならない」。呉団長の悲痛な叫びを聞いた時、この嫌な記憶が蘇った。
恐怖のため自分よりも弱い者を攻撃する。ハルモニに悲しい思いをさせても自分が助かればそれで良いのか。何度も自問自答した。
在日に沈黙を強いる日本社会の差別に立ち向かう勇気がなければ、この恐怖は無くならない。差別の闇に取り込まれてはならない。
■□
日本政府の対応不適切
加藤直樹ノンフィクションライター
「少女像」をめぐる問題については、「慰安婦」問題を前向きに解決していく文脈の中に位置付けられるべきであり、「慰安婦」問題は、日韓両国の政治的、経済的、文化的な友好と交流全体とは切り離して、人権、人道、歴史の総括の問題として考えられるべきだ。
その意味で私は、日本人として、市民団体による少女像設置に対して、大使引き上げや通貨交換協定の協議中断といった過剰で不適切な対応を行った日本政府に抗議する。
■□
慰安婦問題経緯
2015年12月28日 韓日外相が慰安婦問題について会談・合意「韓日慰安婦合意」
12月28日 民団中央本部・呉公太団長名で歓迎談話発表
16年1月6日 韓国の主要3紙(朝鮮・中央・東亜日報)に「韓日慰安婦合意」を支持する民団意見広告掲載
12月30日 駐釜山日本総領事館前に「慰安婦少女像」設置
17年1月12日 民団新年会と記者会見(東京)で呉公太団長が慰安婦問題について早期解決を改めて表明
1月17日 呉公太団長が慰安婦問題の早期解決を求める本国向けの「要望書」を李俊揆駐日韓国大使に提出
(2017.1.25 民団新聞)