掲載日 : [2023-05-24] 照会数 : 731
国家の歴史認識ただす、関東大震災100年 犠牲者追悼へ
[ 実行委員会を代表してマイクを握る藤田高景事務局長(右) ]
関東大震災から100年を迎える9月1日を前に、犠牲となった朝鮮人・中国人を悼む大会が8月31日から9月3日にかけて東京都区内と神奈川県川崎市で開催される。
大会に先立って同実行委員会の主要メンバー10人が都内で会見に臨み、日本の国家としての歴史認識をただした。
共同代表の田中宏さん(一橋大学名誉教授)は100年前の虐殺の事実を海外に知らせたいとして、G7を構成する各国駐日大使館と関係団体に書留で書簡を送る考えを明らかにした。
アジア諸国との和解を大きなテーマに総合雑誌『世界』を発刊してきた岡本厚さん(元編集長、岩波書店前代表取締役)は「歴史の事実関係は明らか。自分たちがどのような道をたどってきたのかを知らずして未来を語れない」と述べた。
在日中国人2世で、父親が受難にあった林伯耀さんは「日本はかつての侵略戦争を反省していない。日中共同声明でも謝罪していない。100年前の虐殺に日本社会は真しに向き合って反省し、犠牲者の名誉を回復しなければならない」と強調した。
当時の事実を「隠された爪痕」と「払い下げられた朝鮮人」の2本の作品で明らかにしてきた映画監督の呉充功さんは、事件から100年が経過しようとしているのにもかかわらず、遺族が蚊帳の外に置かれていると指摘。「犠牲となった朝鮮人の名簿がなぜ、ないのか。検死報告書もしくは死亡通知書があるはずだ」として被害者の尊厳の回復を訴えた。
国会では関東大震災における朝鮮人虐殺に関する「質問主意書」がこれまでにも何度か出されている。
しかし、「調査した限りでは、政府内にそれらの事実関係を把握することのできる記録が見当たらない」とする答弁を繰り返しており、一貫して知らぬ存ぜぬを決め込んでいる。
(2023.5.24民団新聞)