掲載日 : [2023-06-07] 照会数 : 1101
記録作家 林えいだいさん顕彰 「ありらん文庫」開設へ
[ 森川登美江さん(右)と林えいだいさんの〝祭壇〟=「記録作家 林えいだい記念ありらん文庫資料室」 ]
【福岡】徹底した聞き取り調査で日本統治時代の朝鮮人強制連行の深層などを世に知らしめた記録作家、故・林えいだいさんが生前、福岡県筑豊地方に情報収拾発信基地として開設した資料館「ありらん文庫」が年内にも福岡市中央区にリニューアルオープンする。林さんと親交の深かった大分大学名誉教授の森川登美江さんが遺志を継いだ。
日本人研究者「遺志継ぐ」
森川さんは林さんの死後、自筆原稿やインタビューノート、取材テープ、写真などの遺品を引き取り、月命日の2018年2月1日、個人で所有するビルの2階に「記録作家 林えいだい記念ありらん文庫資料室」として開設した。
「資料室」は多くの研究者が「宝のヤマ」と呼ぶほど。ホテルに泊まり込みで調べものに携わるほどだった。
その後、林さんの遺した膨大な蔵書を「福岡アジア文化センター」として使っていた3階に運び入れており、蔵書目録の作製を急いでいる。年内には名称から「資料室」を外し「ありらん文庫」として一般に公開していく。
森川さんは大分大学助教授時代の95年夏、田川市の「ありらん文庫」を訪れ、親交を結ぶ。それからは林さんの取材に同行し、著作の校閲にも携わるなど、林さんの分身ともいうべき役割を果たしてきた。
「ありらん文庫」を引き継ぐことは森川さんが生前の林さんと交わした約束だった。林さんは遺された資料を公的機関に入れると、苦労して集めた資料が死んでしまう。見たい人がいれば誰でも利用できるようにしたいと語っていたという。
森川さんの専門は中国文学。大分大学では「アジア学」について講義してきた。
福岡市中央区梅光園2-23-16東洋企画ビル(TEL・FAX092・406・8609)。
(2023.6.7民団新聞)