不況感強く 堅実経営に腐心
在日韓国人信用組合協会(韓信協、洪采植会長)の会員7組合の3月末決算業績(07年度)は、預金が前年比1・45%増の5757億5100万円、貸出金が同1・69%減の4196億9000万円と、ほぼ横ばい状態だ。自己資本比率は平均6・10%で、出資配当を実施したのは3組合にとどまった。米国のサブプライム・ローン問題が世界的金融混乱を招き、遊技業や焼肉業といった在日同胞の主たる産業の不振が、各民族金融機関にも苦戦を強いる要因となっている。
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あすか信用組合 預金・貸出金も伸ばす
あすか信用組合は6月26日、東京・新宿の本店で第42期通常総代会を開き、李永植理事長を再選した。総代113人中88人(委任状46)が出席。
07年度決算業績は、預金が1646億8471万円(前年同期比1・45%増)、貸出金が1205億6180万円(同6・66%増)で、預貸率は73・21%だった。自己資本比率は6・42%、出資配当は1%。
なお、BCCI(バク・オブ・クレジット・アンド・コマース・インターナショナル)に対する債権の一部(第6次分)として金3億4299万9413円が返還され、特別利益に計上された。
李理事長は「この3年間、組合員の温かい声援のもとにさまざまな協力体制を構築することができた。今期は信用組合の原点に返り、同胞の相互扶助を基本理念とし、地域に貢献できる営業活動を展開したい」と抱負を述べた。
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信用組合広島商銀 出資配当2%を実施
信用組合広島商銀は6月20日、広島市の本店で第47期通常総代会を開いた。総代130人中130人(委任状57)が出席した。
07年度業績は、預金が1295億8632万円(前年同期比1・26%増)、貸出金が956億4710万円(同0・40%減)で、預貸率は73・81%。自己資本比率は6・01%、出資配当2%。
昨年、下関市内の店舗を統合した結果、事業所数は16店舗に。
鄭義夫理事長は「9億円余の実質業務純益を達成したが、不良債権処理を積極的に進めるため、貸倒引当金の積み増しを行った。今期も、地域の顧客との絆を深めるべく経営の透明性を確保しながら、資産内容の改善強化を図るとともに、引き続き創業支援・再生支援に取り組んでいきたい」と語った。
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中央商銀信用組合 合併で繰越損失解消
昨年12月25日に横浜商銀信用組合と北陸商銀信用組合が合併して設立された中央商銀信用組合は6月27日、横浜市の本店で第1期通常総代会を開き、洪采植理事長を再選した。また、代表権を有する副理事長に南基煥理事を選出した。総代252人中205人(委任状112)が出席した。
今年3月末の決算は、預金が1169億4259万円、貸出金が758億5544万円で、預貸率は64・86%。自己資本比率は6・62%。
洪理事長は「昨年の合併により、旧横浜商銀の長年の課題であった繰越損失金を解消するとともに、全信組連から30億円の支援を受けたことにより、健全な財政基盤を築くことができた。今期からはこれまでご支援いただいた総代の皆様に利益を還元できるようにしたい」と決意を述べた。
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信用組合愛知商銀 基盤強化で純益確保
信用組合愛知商銀(権東鉉理事長)は6月27日、名古屋市の愛知韓国人会館で第55期通常総代会を開いた。総代133人中121人(委任状65)が出席した。
07年度決算業績は、預金が641億7865万円(前年比6・53%増)、貸出金が487億5788万円(同9・21%減)で、預貸率は75・97%。自己資本率は5・54%だった。
権理事長は「内部管理体制の整備・構築に鋭意専念し、経営の健全性と透明性に努め、経営基盤の拡充と組合員の信頼を得ることに邁進した結果、実質業務純益は8億4000万円となった。長年無配当が続いているが、本年度こそ配当が実現できるよう、より一層信頼される地域密着型民族金融機関としての基盤強化に全職員尽力していく」と強調した。
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九州幸銀信用組合 新理事長に呉龍夫氏
九州幸銀信用組合(本店・熊本市、金泰汶理事長)は6月27日、福岡市の幸銀本部ビルで第52期通常総代会を開き、新会長に金龍海、新理事長に呉龍夫の両理事をそれぞれ選出した。総代134人中122人(委任状80)が出席。
07年度決算業績は、預金452億2456万円(前年同期比10・69%増)、貸出金359億5487万円(同12・47%増)で、預貸率79・50%。自己資本比率は5・05%。配当は、普通出資0・5%、優先出資1・5%。今期7月に八幡支店を北九州支店に統合、10月に本店を熊本から福岡に移転することが承認された。
呉理事長は「同胞の諸先輩が築いて来た財産を非常に厳しい中で引き継ぐことになったが、なんとか頑張りたい。本店移転決定を契機に組合員増強運動を展開していく」ことを表明した。
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あすなろ信用組合 慎重審査で貸出金減
あすなろ信用組合(本店・松本市)は6月26日、長野市のホテルで第33期通常総代会を開き、尹昌旭理事長を再選した。総代165人中116人(委任状58)が出席した。
今年3月末の決算は、預金額が368億277万円(前年同期比0・28%増)、貸出金が302億4560万円(同0・18%減)で、預貸率は82・18%だった。純利益は3696万円を計上した。自己資本比率は5・05%。
尹昌旭理事長は「慎重な審査で不良化リスク回避に努めた結果、貸出金が減少した。同胞経済を取り巻く環境は厳しいものがあるが、今年度は『共栄』をスローガンに、融資増強を積極的に進めながら運用収益の増加を図り、地域の金融機関としての信頼をいっそう高める努力をしたい」と決意を語った。
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信用組合岡山商銀 融資増で預貸率改善
信用組合岡山商銀(李根善理事長)は6月20日、岡山市の本店で第46期通常総代会を開いた。総代108人中88人(委任状31)が出席した。
今年3月末の決算は、預金が183億3019万円(前年同期比4・08%減)、貸出金が126億6655万円(同10・14%増)。預貸率が69・11%と前年比で9%の伸び率だった。純利益4225万円で配当は2%。自己資本比率は8・04%と8%台を維持した。
李理事長は「金融機関の預かり預金の解約などで全体預金額は減少したものの、債務集約(おまとめ)ローンを主力にした各種ローンの順調な業績で貸出金の伸びを目標どおり達成し、預貸率が大幅に改善された」と説明した。
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安定型預金が大幅増 近畿産業信用組合
近畿産業信用組合(本店・大阪市)は6月26日、京都市内のホテルで第55期通常総代会を開いた。総代229人中192人(委任状92)が出席した。
07年度決算業績は、預金が6150億7099万円(前年同比率6・00%増)、貸出金が3627億2275万円(同6・42%増)で、預貸率は58・97%。純利益は27億1600万円(同10・69%減)で、配当は2%。自己資本比率は9・45%だった。
八田富夫理事長は「1000万円以下の中・小口安定預金が前年に比べて208億円増の3331億円となった。また昨年9月にオープンした大阪府・高槻支店は預金額68億円からスタートしたが、皆さんの支援により3月期末に105億円と大幅な伸びを見せた」と述べた。
毎月第3金曜日の「きんさんの日」や感謝デーの開催などが定着、地域社会に根ざした営業姿勢に徹してきた。現在36店舗中、今年度は5店舗を廃止する予定。
(2008.7.9 民団新聞)