掲載日 : [2016-01-01] 照会数 : 4671
外国籍調停委員なぜなれないの…日弁連が啓発パンフ
外国籍の弁護士は法律上の要件を満たしていながら、最高裁判所から調停委員への採用を拒否されている。こうした現状を知ってもらおうと、日本弁護士連合会がこのほど、啓発パンフレット1万部を作成した。
調停委員は民事の遺産相続など、家族間のもめごとで紛争当事者の間に入ってその主張を整理し、合意形成に努力する仕事。最高裁から任命される非常勤の公務員で、弁護士業の中では公益的活動の一つといえる。簡易裁判所での民事訴訟で和解や審理などに立ち会い、裁判官とともに当事者への説明や調整にあたる司法委員や、家庭裁判所での離婚訴訟で尋問や和解などに立ち会う参与員も広く含まれる。
調停委員の採用に日本国籍が必要との明文上の規定はないが、最高裁は「当然の法理」を盾に日本国籍を有する者に限っている。日弁連は「これではだめだからだめだと言っているのと同じで、全く説得力がありません」と訴えている。
制度改善訴える
当事者の一人、梁英子弁護士(神戸弁護士会)は、「パンフができてから問題の所在を理解してもらいやすくなった」と歓迎。「なにごともあきらめないことが大事。これからも前向きに制度の改善を訴え続けていきたい」と話している。
(2016.1.1 民団新聞)