掲載日 : [2016-09-07] 照会数 : 11317
<次世代母国訪問>初めて知った在日同胞史…一世の生きざまに胸熱く
[ 母国での貴重な体験に感動! ]
中・高・大学生合わせて406人
在日同胞社会の次世代育成運動の一環として、日本の学校に在学する中学、高校、大学生(短大・専門学校生含む)を対象とした、ソウルでの「2016在日同胞次世代サマースクール」(民団主催、在外同胞財団後援。引率団長=許槿一中央副団長)が8月4日からの中学生(7日まで)を皮切りに、高校生(18〜21日)、大学生(23〜26日)の順に開催された。今年は民団創立70周年記念事業「次世代1500人母国訪問」の一環として各コースとも定員を拡大、中・高・大学生あわせて406人が参加した。全国各地から参加した学生たちは、在日同胞の歴史や韓国の近代史、北韓情勢などを学ぶとともに、伝統文化体験、ハイテク企業の見学を通じて、同世代の同胞と母国を自らの肌で触れ合った。「韓民族として生きていきたい」との感想が多く聞かれた。
参加者の内訳は中学173、高校142、大学91人と中学生が最も多い。これはオリニジャンボリー参加者が「仲間と2年目の再会」を約束し合い、リピーターとなったあらわれだ。
ソウルのオリンピックパークテルを拠点に各コースとも3泊4日間、映像を通じた「在日同胞社会の歴史」「韓国の歴史と統一問題」「北韓の実情」の講義をはじめ、戦争記念館、三星広報館、景福宮などを見学するフィールドワークで母国の歴史や現在の姿を学んだ。
講義の中で、とくに在日同胞社会の歴史ではドキュメンタリー映像「在日同胞の歴史と韓国民団」や写真集「民団70年の歩み」を通じて本国への貢献や日本社会での差別闘争など1、2世たちの歩みを視覚で学んだ。
学生らは「現在の韓国発展の裏には民団や在日同胞の多くの貢献があったことを知った」「今は当たり前のような各種国籍条項の廃止には民団の人たちが必死になって運動したおかげだと知り、胸が熱くなった」と目を潤ませていた。
また、金英秀・西江大政治外交学科教授による「韓国の歴史と自由統一」の講義や脱北女性による北韓の実情に関する証言も「祖国の統一に向けて在日同胞の役割を考えさせられた」「脱北者の生の声を聞いて北韓の悲惨さに驚いた」など、学生たちの関心を呼んだ。
学生が参加するグループ別ディスカッションでは、講義で学んだことや体験談を交えながら在日同胞としての生き方や韓国への思いを語り合った。最終日、各班別に発表された報告会で「韓国へのイメージ」がテーマだった中学生らは「力強く生きてきた在日同胞の子孫として誇りに思った」「韓民族としてしっかり生きていきたい」などの意見で一致した。
「民族名の使用」をテーマにした高校生や大学生も「今回初めて民族名を知ったが、できる限り使ってみたくなった」「ヘイトスピーチなどの問題もあるが本名使用をポジティブにとらえていきたい」など、肯定的な意見が多かった。
3日目は伝統文化に触れるカリキュラム。午前中は景福宮を見学後、朝鮮朝時代の民族衣装に着飾って写真を撮り合った。午後は、伝統打楽器のチャンゴ体験とK‐POPダンス教室で汗を流した後、韓国伝統楽器や弦楽器が奏でる強烈な音楽と、感性を刺激するダンスパフォーマンス「ファンタスティック」を楽しんだ。
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参加者らにアンケート
「満足」が8割に
参加学生たちは期間中、同世代どうしで語り合い、韓国と触れ合うことで連帯を広げた。今後もSNSなどを通じて交流を広げ、学生会や青年会などの行事にも積極的に参加していくことを誓い合った。
同事業を担当した民団中央文教局が参加者に1,満足度2,参加した契機3,印象深かったカリキュラムの内容4,在日次世代としての抱負などについてアンケート調査した。
参加した動機は「同世代の友だちと出会い思い出を作る」がいずれも過半数を占めた。満足度については「とても満足」または「満足」と答えたのが中学77%、高校82%、大学73%と好評だった。最も人気の高かったカリキュラムは中・高・大学ともに脱北者による「北韓の実情」だった。
(2016.9.7 民団新聞)