掲載日 : [2016-05-11] 照会数 : 5289
1300年前の足跡辿る「高麗王・若光ウオーク」…4日がかり、延べ255人参加
[ 高麗神社に到着した韓日のウオーカーたち(4月29日) ]
【埼玉】高麗郡建郡1300年記念イベントの一つ「高麗王・若光ウオーク」のウオーカー88人が4月29日、ゴールの高麗神社に無事到着した。26日に高麗ゆかりの神奈川・大磯町の中崎久雄町長らが見送る中、高来神社を出発し、4日間で約95キロの道のりを歩いた。
神奈川県大磯町→埼玉県高麗神社95キロ
到着報告祭で高麗文康宮司は「風が吹き、雨でぬかるむ峠を、現代ウオーカーの皆さんが、未開の地に足を踏み入れたいにしえの高麗人の足跡を偲んで、心一つにして長い道を歩いてくれた」と労をねぎらった。
最終日には高麗宮司の一人息子で、高校2年生の高麗暁光君も合流した。「単なるウオークではなく、みなさんが高麗の軌跡を探り、高麗の歴史に興味をもっていただけることに感謝する」と謝意を述べた。
高麗神社まで約4キロ手前の巾着田では、高句麗古墳の壁画に描かれた衣装の川越唐人揃いパレード実行委のメンバーら11人が出迎えた。報告祭後には日高市のB級グルメとして定着した高麗鍋がウオーカーらにふるまわれた。
『続日本紀』によれば、「716年に武蔵国に東国から高麗人1799人が集められて高麗郡が建郡され、初代郡司となったのが高麗王若光」と記されている。「大磯から真北にあたる地で高麗郡を建郡したのではないか」。主催した高麗王・若光ウオーク実行委員会の小俣洋一郎事務局長らが昨年秋、歴史ルポライターの宮田太郎氏が提唱した「高麗若光ライン」の踏破再現を思いつき、建郡1300年の今年開催にこぎつけた。
日高市、大磯町の観光協会、民団中央本部などが後援に加わった。参加者は21世紀の朝鮮通信使友情ウオークの会などが協力し、26日が80人、27日が49人、28日が38人で、のべ255人。約7割が地元の新聞などから情報を得て参加し、七国峠や高麗峠など若光ラインを歩いた。4日間全行程を踏破したのは28人。そのうちの一人が、NPO法人「日中韓から世界へ」の幹事を務める熊倉澄子さん(66、東京都杉並区)。韓国語の通訳や韓日の大学生を対象にしたユース朝鮮通信使ウオークなどを実施している。
ウオークのきっかけは、東日本大震災時に韓国から届いた義捐金だった。そのお返しに韓国に何かしたいと実施したのが、12年3月の釜山〜浦項の感謝ウオーク。4泊5日を約30人で歩いた。「今回は歴史ロマンあり、海あり、山ありの素晴らしいコース。国際的なウオークになる可能性もあるのでは」と期待を込める。
唯一の韓国人だった李性任さん(53、柏市)は、夫と2人の息子と来日して13年になる。第5次朝鮮通信使にも参加した。「通信使の日本人の友人から誘われ、韓国人の血が騒ぎ参加した。先祖が歩いた道を、みんなでわいわい楽しく歩くことができた」と喜んだ。
後援した日高市観光協会の駒井正治会長は、「1300年の歴史の1ページになった。今度は高麗から大磯へ、湘南海岸で地引網の計画があればいいと思う」と将来を見据えた。
(2016.5.11 民団新聞)