掲載日 : [2016-07-27] 照会数 : 4543
<読書>日本会議の研究…政権動かす奇奇怪怪
ネトウヨが街頭に出て醜悪なデモを始めたことを、著者が奇異に感じたのが2008年頃。街宣活動の情報源をつぶさに調べていくうちに、たどりついたのが『正論』などの「保守論壇誌」だった。
手当たり次第に読み込んでいくと、奇妙なことに気づいた。「なぜこのテーマにこの論客なのか」。必然性がないのだ。また、07年に政権を突然辞任したにもかかわらず、安倍晋三氏が登場し続ける点である。
ヘイトスピーチへと拡散したデモ参加者たちの一次的な情報源も、政治生命が終焉したはずの安倍氏を熱烈に応援し続けたのも保守論壇誌。これは一体何なのか。元祖保守論壇人が活躍し始める1950年代末までさかのぼって根本原因を究明してみた。そして、97年に結成された民間の保守団体「日本会議」にいきついた。
第3次安倍内閣の全閣僚に占める「日本会議国会議員懇談会」に所属する議員の割合は8割を超えている。公明党出身議員以外のほぼ全員が属し、「日本会議のお仲間内閣」そのものだ。
では、日本会議のめざすものは何か。それは、「改憲」「靖国参拝」「愛国教育」「自衛隊海外派遣」だ。このキーワードで「現政権は着実に動いている。日本の民主主義は彼らに殺されるだろう」と著者は警告を発する。
菅野 完著
扶桑社新書
(800円+税)
03(6368)8875
(2016.7.27 民団新聞)