掲載日 : [2020-03-28] 照会数 : 8818
歴史修正主義に異議…関東大震災朝鮮人虐殺を語る
[ 中川五郎さんのツイッターより ]
ライブハウス主催、中川五郎の歌も
東京・高円寺グレイン
1923年の関東大震災朝鮮人虐殺をテーマとしたブッキングライブ&トークイベントが20日、東京・杉並区のミニライブハウス「高円寺グレイン」で開かれた。
同ライブハウスの店主、加藤真さんが企画した。朝鮮人や中国人に対する殺害・暴行を主導した軍や警察の役割、そして虐殺に加担した民衆の差別意識についてはすでに多角的な解明が進んでいる。その一方、事実そのものを否定したり、歴史教科書や追悼行事への攻撃も繰り返されていることに異議を唱えたかっこう。加藤さんは「ファクトをなかったことにしようとする勢力が出てきている。『でもそうではないだろう』と、私たち一人ひとりが変えていくきっかけにしたかった」とイベント開催に至った経緯を語った。
2部構成。前半は西崎雅夫さん(一般社団法人ほうせんか理事)と田中正敬さん(関東大震災朝鮮人虐殺の国家責任を問う会)、フォークシンガーの中川五郎さんの3人を迎えてのトーク。
西崎さんは震災当時、留学生として高円寺にいた韓国人から直接聞いた話を披露した。その生存者が語ったところによれば、おにぎりを求めて行列に並んだところ、前にいた朝鮮人労働者2人が連行されていった。この留学生は日本語を自由に話せたために難を逃れたという。西崎さんが話を聞いたのは80年代前半。西崎さんは直接話を聞いた「最後の世代」として伝えていく義務があると語った。
中川さんは「トーキング烏山神社の椎の木ブルース」、「1923年福田村の虐殺」で関東大震災後の在日朝鮮人虐殺という具体的事実をを物語風に語ってきた。トークで「住民は一つひとつの事件を知らされていない。自然とみんなの合意で都合の悪いことは見ないようにしようという動きが日々強くなっている」と、過去の歴史から目を背ける風潮に警鐘を鳴らした。
田中さんは関東大震災が「混乱のなか」「火災~逃げ惑う」といった教科書的記述だけで語られることに違和感を表明。「朝鮮人虐殺に対する国家責任を覆い隠すために出てきた言葉だ」と指摘した。後半は中川さんのライブが行われた。
(2020.03.27 民団新聞)