『記念誌』市からの委託受けて
【兵庫】還暦を迎えた宝塚市(中川智子市長)が、市の変わりゆく町並みを親子で振り返ることのできる記念誌絵本『宝塚市の60年』を制作した。作画・デザインはイラストレーター(画家)の金斗鉉さん(千葉県浦安市)とそのアシスタント、東條琴枝さんに委託。発刊と編集助言は東京の福音館書店編集長の唐亜明さん。
1950年から今日までの6章構成。子どもたちが成長し、やがて結婚して子どもを産み、さらに孫が生まれるまでの60年間を、細密な描写で詩情豊かに描いた。
10年間ずつを6点のパノラマ画で構成。武庫川をはさむ宝塚町と良元村が合併して宝塚市が誕生した50年代は田園風景が広がるのどかな町並み。武庫川で泳ぐ子どもたちやあゆ釣りをする姿も。70年代はオスカルとアンドレでおなじみの「ベルサイユのばら」でにぎわう宝塚大劇場が登場。市の発展期だけに絵にも活気が見られる。
転機となったのは95年の阪神・淡路大震災。屋根はブルーシートで覆われている。原画の段階では過去の記憶も生々しい市側からさまざまな修正意見が出たという。
金さんは語る。「資料として過去の時代の写真を集めて見せてもらっても、どこから見た風景なのかは不明。たぶんこうなんだろうと思って描いた。小さくて人間の表情を出すのも難しかった」。 発刊記念式は1日、市内のホテルで開かれ、親子連れら120人が訪れた。完成したばかりの絵本を手に取ったある年配者は、「この路地を通って小学校へ行ったっけ」と懐かしそうな表情だった。子どもたちも「昔はこんな風景だったんだ」と、まちの歩みに見入った。
金さんは、「いいことも悪いことも含めて、過去の歴史を知ることは大事なこと。これからの未来のために、ちゃんと歴史を知ってほしい」と呼びかけた。
オールカラー32㌻、1000円。3000部を発行。市内の主要書店と市役所本舎3階、企画経営部政策推進課(0797・77・2001)で取り扱っている。
(2015.3.25 民団新聞)