全国4番目
来年10月開業へ…多文化共生モデルに
「梅干しとキムチのある老人ホーム」で知られる特別養護老人ホーム「故郷の家」が2月、東京・江東区内で着工した。社会福祉法人「こころの家族」(尹基理事長、大阪・堺市)が運営する特養ホームとしては堺市、神戸市、京都市に次いで4番目。「故郷の家・東京」を起点に、将来的には都内各区にグループホームをつくっていくことを目標としている。
建設地は江東区塩浜1丁目の旧農水省食料研修所の跡地。約700坪を国から借り受けた。当初、15年の開設をめざしていたが、建設費高騰のあおりから昨年3月の第1回入札は不調に。大規模な設計変更を行うなどコストの削減に努めたところ、今年1月の再入札で東京の建設業者が落札した。
鉄筋コンクリート造りの5階建て。延べ床面積は6734平方㍍。特養ホーム(98人)と老人短期入所(ショートステイ、12人)、介護専用型ケアハウス(軽費老人ホーム、30人)、都市型軽費老人ホーム(8人)を備える。施設の利用者と地域住民が交流しながら文化的な活動をする「地域交流スペース」も設ける。総事業費は約30億円。
東京で特養を建設するのは尹理事長の30年来の夢だった。「法人としては絶対やりたかった。東京には多くの同胞がいるのに、『故郷の家』がないのは在日の方々に申し訳ない」。
尹理事長は11年3月、「在日韓国人老人ホームを作る会」26周年記念東京大会で具体案を打ち出した。しかし、「土地の高い東京でできるはずがない」と、周囲の反応は冷ややかだった。その後、都内の国有地候補地についての情報が入り、東京財務事務所と協議を進めてきた。この結果、国との間で50年間の定期借地契約がまとまった。
江東区の高齢者人口に占める外国人の比率は約6%と高い。施設入所待機者は約2000人にのぼる。建設地周辺にも高齢者が多く住み、完成を心待ちしているという。
利用にあたっての国籍要件はないが、東京都の決まりで区民が優先される見込み。同東京事務所は、「建物ができて運用が始まれば、多文化共生のモデルをめざして柔軟にやりたい」と話す。開業は16年10月の見込み。
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5億円募金へ
こころの家族
「在日韓国老人ホームを作る会」と社会福祉法人こころの家族は、建設資金として不足している5億円の募金を呼びかけている。
寄付金額は自由。郵便振替口座00920‐3‐15941 在日韓国老人ホームを作る会、または郵便振替口座00940‐0‐329280 社会福祉法人こころの家族。
連絡先は社会福祉法人こころの家族(03・3518・9875〜6)。
(2015.3.4 民団新聞)