掲載日 : [2020-02-13] 照会数 : 10023
「在日はチャンス」 東証1部上場の在日3世が成功談語る
[ パネルディスカッションに臨む金大仲さん(右) ]
青商連第1回ビジネスフォーラム
【神奈川】不動産ソリューション事業で東証第一部上場を果たした在日韓国人3世の金大仲さん(45)が7日、在日韓国青年商工人連合会(韓孝徳会長)が主催した第1回ビジネスフォーラム第1部で自らの成功体験を語った。講演テーマは「在日はチャンス」。「在日であることの可能性は無限大」と強調し、フォーラムに参加した約200人の青商会員らに感銘を与えた。
事業内容は投資用コンパクトマンションの開発、販売、建物管理とプロパティマネジメント事業など。売上高は2016年まで約100億円で推移していたのが、昨年は過去最高の250億円にまで急成長した。韓国名での上場は難しいといわれているなか、17年に東京証券取引所マザーズ市場に上場、18年12月には東証第1部に市場変更を果たした。
金さんが所属する神奈川青商の李寿浩会長(青商連常務理事)はフォーラム席上、「韓国籍、韓国名のまま上場したことには嫉妬した」と思わず本音を明かした。
上場によって企業の社会的信用が高まり、知名度がアップ。社員のやる気もあがった。金さんは「上場には学歴も国籍も関係ないことを立証し、次世代に勇気を与えられた」と胸を張った。今年からはホテル、商業店舗ビル、オフィスの分野にも進出していく。本業のマンション供給部門では数年内に業界ナンバー1になることを目指している。
金さんは横浜中華街で生まれ育った。神奈川大学在学中、在日韓国学生会の第15期会長を歴任。卒業後は弁護士志望から企業家の道に。バブル崩壊で経営が立ちいかなくなった実家の飲食店を建て直し、大手不動産会社に就職してトップセールスマンの地位に就く。この時の経験をもとに30歳で独立した。
本名ゆえの葛藤もあった。在日の企業ということで顧客の不興を買ったときのこと。社員が販売で苦労するのを見て金さんは通称名を使おうかと迷った。しかし、社員の反対で思いとどまったという。以来、社員と共に未来を創る「共創」を社是としている。
第2部は金紀彦弁護士をコーディネーターに迎えてのパネルデイスカッション「グローバル化する在日ビジネス」が行われた。パネリストは金さんと朴永鎮さん(株式会社ヒューマンパワー代表取締役社長)が務めた。
(2020.02.12 民団新聞)