北韓の「労働新聞」(党機関紙)、「朝鮮人民軍」(人民武力部機関紙)、「青年前衛」(金日成社会主義青年同盟機関紙)の3紙は1日、「今年、もう一度軽工業に拍車をかけ、人民生活の向上と強盛大国の建設において決定的な転換を実現しよう」と題する共同社説を掲載した。
南北関係では、「昨年、南朝鮮保守当局は戦争下手人、反統一対決狂信者としての本性を余地なく現した」と強弁し、「南北間の対決状態を一日も早く解消するため南朝鮮当局は反統一的な同族対決政策を撤回しなければならず、6・15共同宣言と10・4宣言を履行する道に進まなければならない」と主張した。
同時に「この地に戦争の火の手が上がれば核の惨禍のほかにもたらすものはない」と強調。「党の先軍革命路線に基づき人民軍隊の戦闘的威力をより強化せねばならない。緊張した情勢の要求に合わせ、全軍が戦闘訓練を実戦さながらに展開する必要がある。人民軍隊はわれわれの絶対的尊厳と社会主義制度、我々の空と地、海を少しでも触れる者を絶対に容赦しない」と力説した。
南揺さぶる旧態の手法
【解説】北韓は共同社説に続く4日の「政府・政党・団体連合声明」でも、昨年の天安艦撃沈、延坪島無差別砲撃に対する謝罪のニュアンスさえ微塵も見せないまま、「対決状態の解消」「南北当局間の会談」の早期実現を求めるなど対南対話攻勢に出ている。
この一連の動きは、どの程度の誠意が込められているのかを吟味する対象にすらならない。
文脈上も事実においても、南北の緊張激化の責任を韓国側に転嫁し、従北勢力を動員して韓国国内の対立を煽る意図は明白だ。
軍事挑発を加えては対話を呼びかけ、意に沿う援助が引き出せなければ再び挑発に出ることを繰り返し、無条件の援助か、戦争の恐怖か、選択を迫って揺さぶりをかける常套手段にすぎない。
昨年の共同社説は、その前年の李明博政府糾弾・反政府扇動から一転して、共同宣言に基づく南北関係の改善を求めるものだった。だが、3月には卑劣な闇討ちで天安艦を撃沈し、11月の延坪島砲撃によって6・25韓国戦争以降で初めて韓国領土を直接攻撃することで一線を超えた。
韓国では、延坪島砲撃以前と以後とで南北関係は決定的に変わったとの認識が定着した。撹乱効果も時を追って縮小している。
(2011.1.12 民団新聞)