成熟した世界国家への新10年に
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歩みは止められぬ
さらに創造的挑戦を
尊敬する国民の皆さん!
辛卯年の新年が明けました。知恵と豊かさの象徴であるウサギ年に国民すべてが幸せになることを願っています。
昨年はわが歴史において記憶すべき1年となりました。ソウルG20首脳会議を通じて堂々と世界の中の大韓民国としてそびえ立ちました。常に世界秩序に従っていた国から、世界秩序を創っていく大韓民国になったのです。世界で最も模範的に経済危機を克服することができました。
昨年の韓国は、OECD加盟国の中で最も高い6%台の経済成長を達成しました。輸出額は世界第7位の貿易大国になりました。コリアディスカウントの一因であった労使関係も落ち着きを見せ、労働法も改正され、定着しています。
私たちはなすべきことをやり遂げました。わが国民がひたすら流した汗、また世界に向けてたゆまず創造的に挑戦した結果です。
ところが、天安艦爆沈と延坪島挑発は、韓半島の平和を願うわが民族と世界の熱望に冷水を浴びせました。世界に向けて力強く進む大韓民国の国民に対して、重大な挑戦であると言わざるを得ません。
それでも、成熟した世界国家、先進一流国家を目指す私たちの歩みを止めることはできません。誰がどう脅かし妨害しようとも、私たちが進む道を閉ざすことはできません。
名実ともに一流国家へ
今年は新たな10年を開く年です。これからの10年は、大韓民国が名実ともに世界の一流国家になる期間となるでしょう。ついには大韓民国の時代が開かれることでしょう。
今年はこれまでの成果を土台に、外交と安保、経済と生活の質、政治と市民意識など、あらゆる分野で力強く飛躍する1年にしなければなりません。
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安保には心を一つに
北韓の挑発意図砕く
尊敬する国民の皆さん!
延坪島挑発の以前と以後は同じではありえません。9・11テロを受け、米国は自身の安保戦略と国家戦略を再編成しました。国民の生存が脅かされたからです。
延坪島挑発もやはり、私たちの安保態勢を再検討し、全面的に再整備する契機となりました。生存に留保がないように、生存を守る安保にも決して留保はありえません。安保の前で私たちは一つにならなければなりません。一つになった国民こそ最上の安保です。
平和は、決して与えられるものではありません。私たちはいまだに分断国家の厳しい現実の中で生きています。私たちは、北をしてわが領土を一寸たりとも越えさせません。私たちの生命と財産を脅かす、いかなる挑発も容赦しません。挑発には断固とした、強力な懲罰があるだけです。
軍事的冒険得る物ない
北に挑発の考えすら抱かせないように、確固たる抑止力を備えるべきです。そのための国防改革にいっそう拍車を加えます。今後は、堅固な安保に基盤をおいた平和政策と統一政策を樹立、実践しなければなりません。
ひいては北の同胞たちを自由と繁栄の道に参与させるために努力しなければなりません。北は悟らなければなりません。軍事的冒険主義で得られるものは何もありません。民間人に砲撃を加え、同族を核攻撃で脅しながら、民族と平和を論ずることはできません。
北韓の核開発は、韓半島の平和と世界の平和にとって大きな脅威です。国際社会も北韓が核を放棄し、共栄の道を歩めるよう、ともに努力しなければなりません。関連国の公正かつ責任ある役割がかつてないほど重要です。
対話の扉は開いている
北韓は、平和と繁栄をめざす民族の念願と国際社会の要求を受け入れなければなりません。核と軍事的冒険主義を放棄しなければなりません。北韓は言葉だけでなく、行動をもって平和と協力のために努めるべきです。
平和の道はまだ塞がれていません。対話の扉もまだ閉じられていません。北韓が誠実さを示すならば、私たちは国際社会とともに経済協力を飛躍的に発展させていく意志と計画を持っています。
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経済活性化を一段と
未来の競争力つかむ
尊敬する国民の皆さん!
今年の国政運営の両軸はやはり安保と経済です。李明博政府は「経済再生」を旗印に、国民の信託を受けました。金融危機に際しては大きな試練を体験しましたが、むしろこれを機会として飛躍しました。
韓国経済は世界の中でより大きく輝いています。世界有数の投資機関と信用評価機関が韓国経済を明るいものと見ています。ディスプレイやメモリー半導体、造船は世界1位、携帯電話は2位、石油化学は5位、自動車は5位、鉄鋼は6位、繊維は7位、さらに多数の分野で世界第1位の中小企業製品など、韓国産業が世界を席巻しています。世界に向けて跳躍した韓国の企業を高く評価します。
経済は今年も引き続き活性化させねばなりません。持続的な経済成長と競争力を有する産業なくしては、雇用の創出も、福祉の拡充も、財政の健全性向上もありません。
今年の経済運営の目標は、まず5%台の高成長、第2に3%水準の物価安定、第3に良質の雇用創出と庶民・中産層の生活向上です。
科学技術を総合的に支援
科学技術は先進経済に跳躍するための根幹です。政府は、基本技術を開発するための総合的支援策を強化していきます。これにより、韓国経済の潜在成長率を高め、未来の競争力も確保していくのです。今年新たに発足する大統領直属の国家科学技術委員会が、その中心的役割を果たすでしょう。また、理工系に対する支援もさらに強化していきます。
成長が安定を損なわないよう、物価を3%水準に維持するため最善を尽くします。昨年は成長が回復し、雇用創出政策を積極的に進めた結果、約31万件の雇用が創出され、良質の雇用も大幅に増えました。今年も非正規者の雇用をはじめ、さまざまなニーズにこたえられる仕事を創出し、雇用体感を高められるようにします。
ぬくもりを感じるよう
中産階級と地方が経済回復のぬくもりを感じとれるよう、政府は全力を尽くします。大企業と中小企業のパートナー成長政策を引き続き推進します。中小企業をともに成長するパートナーとして認識し、緊密に協力しながら世界的な競争力を備えるよう、企業の生態系を構築するつもりです。
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幸せ享受の老後へ
生活の質の先進化こそ
愛する国民の皆さん!
私たちは今、生活の革命的変化を体験しています。高齢化は単なる期待寿命の延長にとどまるものではありません。生きる方式や類型において質的な変化を意味します。いまや人生は100歳を基準にして生きる時代に突入しました。あらゆる国家政策の枠組みもこれに合わせて変えていかなければなりません。
これまでの高齢化対策は恩恵的福祉レベルの対策に留まっていたのは事実です。しかし、30余年間、職場に勤めた人が退職後、さらに長い時間を生きなければならない現実を直視する必要があります。さらに、高齢化と両極化が同時に現れている点を注目すべきです。年齢が高ければ高いほど、このような両極化が鮮明に顕現化されるのです。
高齢化、両極化の傾向に対する根源的なビジョンが「生活の質の先進化」です。個人が生まれてから老いるまでのライフサイクルに合わせて自己実現と幸せな生活を享受できるようにするものです。
人生の一つひとつの局面と節目ごとにチャンスの窓を開き、自立しうる能力を育て、楽しく暮らせる環境を提供しなければなりません。そのために、雇用や教育、福祉、文化、生活体育、社会奉仕、安全性を融合した総合的な対策と戦略を準備します。
今年の全体予算のうち、福祉予算が占める割合と規模は史上最大です。限られた国家財政で無差別に恩恵を施し、歓心を買おうとする福祉ポピュリズムは、問題の解決策には決してなりません。
多くの国々の例が示すように、福祉ポピュリズムは財政危機を招き、国家の将来はもちろん、福祉そのものを揺るがします。助けの不必要な人にカネを使うことは、支援を必要とする人々の障害となります。公正な社会にも適合しません。
家族福祉の伝統大切に
職場だけでなく、学校も村のコミュニティも生活の質を高める空間となりうるようにします。家族の価値を高めることもまた、私たちの生活の質を高めるのにとても重要です。家族福祉の美しい文化的伝統も生かすべきです。家族こそ幸福の源泉であるという認識と実践が広がるように、政府は市民社会とともに努力を傾けます。
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チャンスを捕えて
緑色成長と市場開拓
尊敬する国民の皆さん!
私たちの生きる道は5大洋6大州にあります。李明博政府は発足以来、成熟した世界国家を国政指標として掲げました。世界一流国家の建設と先進化の扉を開く政府、これこそまさしくわが政府の歴史的アイデンティティであり、責務です。
大韓民国は、人口の多い国ではありませんが、小さな国でもありません。現在、全世界で人口5000万人以上を数え、国民所得2万㌦以上の国は、韓国を含めて7カ国に過ぎません。
世界はこれまで以上に一つになりつつあります。新技術を媒介にした世界経済の統合と人類生存の問題を喚起させる気候変化は、地球がまさしく私たちの母胎であることを切実に教えています。地球村の生存繁栄を国家の生存繁栄と一致させることがまさしくグローバルなリーダーシップであり、成熟した世界国家の条件です。
類例のない経済の活力
私たちはすでにこの道に突入しました。昨年のソウルG20首脳会議で大韓民国は、開発途上国の貧困脱出と経済成長を支援する開発議題を積極的に提起し、すべての国の支持を得ました。アフリカの指導者たちは私の両手をぎゅっと握りしめながら感謝の言葉を述べました。
昨年の大韓民国は、援助を受けた国から援助を与える国になりました。一世代で成し遂げた、わが歴史の偉大な誇りであり、世界史でも類例のないことです。そのため多くの国々が韓国の発展経験を、どの先進国の経験よりももっと学びたがるのです。私たちは新興国や発展途上国の真の友人となるでしょう。外国人が開発経験を学ぶ教育機関も拡大強化していくつもりです。
大韓民国は地球村に緑色成長のビジョンを提示し、それを実践するための「緑色成長基本法」を世界で初めて制定しました。いまや緑色成長は、OECDから国連にいたるまで世界が共有するビジョンです。
緑色成長の先導国となるため、私たちの実践は今年もとどまることはありません。新再生エネルギーの輸出は3年で7倍に増え、2015年までに輸出400億㌦を目標にしています。
今後、太陽光を第2の半導体、風力を第2の造船産業に育てていきます。原子力発電は、UAE輸出をきっかけに気候変動時代の輸出産業として積極的に育成していきます。緑色金融の活性化と緑色技術開発を通じて気候の変化に対応しながら、新しい市場の機会も逃してはなりません。
過去、世界の国々が軍事力を土台にしたとすれば、現在はFTAを基盤に「世界経済の領土」を広げていかなければなりません。自由貿易協定は、大韓民国が世界の通商中心国家となる強力な手段です。
国家戦略のFTA拡大
GDPの82%を貿易に依存する大韓民国は、FTAを通じて韓国の市場を広げる戦略を国家戦略とすべきです。その道しかありません。私たちの政府はインドやEUを含め、世界市場の3分の2とFTAを締結しました。
特に、米国とのFTAはわが国が世界通商中心国家に転換する象徴的、実質的な契機となるでしょう。自動車業界も韓米FTAの迅速な締結を歓迎しています。韓米FTAは経済の先進化のみならず、韓米同盟を強化するという結果ももたらすのです。韓中、韓日FTAも慎重な中にも速度を上げ進めていきます。
成熟した世界国家をめざすには、対内的にも成熟する必要があります。公正な社会こそ、そのための要件です。すべての分野で公正な社会にならねばなりません。
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未来の主人公 見すえ
「G20世代」育てよう
尊敬する国民の皆さん!
私たちの未来は若い世代にあります。最近の青年世代は、わが歴史においてグローバル世代と称しうる、事実上最初の世代です。世界を舞台に走り回り、競争することに躊躇せず、創造的チャレンジ精神に燃える多くの若者たちに、私たちは会うことができます。私はそのような青年たちを「G20世代」と呼ぼうと思います。この「G20世代」を世界一流国家の主役として育てていかなければなりません。
彼らが大韓民国を愛し、彼らが情熱を持ってチャレンジし、彼らが世界市民として世の中をリードしなければなりません。
延坪島挑発以後、海兵隊の志願者が倍増したのを見ながら、バンクーバーや広州で、ワールド・カップで楽しみながら走る若者たちを見ながら、海外ボランティアに裸一貫で飛び込み、1人起業に乗り出す若者たちを見ながら、私は希望を抱きました。彼らがより多くのチャンスを得ることができるよう、1人創業およびチーム創業を支援する措置を大幅に強化していきます。
わが大韓民国は国運隆盛の流れに乗っています。世界で大韓民国を高めうるチャンスです。好機が到来したときにチャンスをつかまねばなりません。先進国への敷居を一気に越えなければなりません。このため、政界や経済、文化、科学、労働、市民社会のすべてが力を合わせましょう。私も積極的に参加します。
懸命に走る力強い年に
今年は本当に多くの仕事をなすことができる年です。政府は国民とともに懸命に走ります。私たち皆が未来へ、世界へ進みましょう。新年を力強くスタートしましょう。
(2011.1.12 民団新聞)