掲載日 : [2016-09-07] 照会数 : 5707
<高麗1300>渡来の里から未来へ…6団体サミット「東アジアの国際交流」
[ 有識者2人が加わった締めくくりの討論 ]
4〜7世紀にかけて東アジアから日本に移り住んだ渡来人、渡来文化の掘り起こしを通じて地域活性化に努めている各地の6団体が一堂に会する渡来文化ネットワーク・サミット「東アジアの国際交流」が3日、東京・渋谷の國學院大學で開催された。武蔵国高麗郡建郡1300年記念事業の一環として一般社団法人高麗1300が國學院大學博物館と共催。
はじめに奈良県明日香村の森川裕一村長が地域の特徴、これまでの活動、これからの展望について代表事例を紹介。続いて「歴史と文化を学ぶ会」(群馬県高崎市)、「信州渡来人倶楽部」(長野県松本市)、「近江渡来人倶楽部」(滋賀県大津市)、「百済の会」(大阪府枚方市)、「一般社団法人1300」(埼玉県日高市)の各代表による発表が続いた。
群馬県高崎市には711年、吉井町を中心に多くの渡来人を意味する多胡郡が設置され、その記念碑として「多胡碑」が建てられた。「多胡碑」は「上野三碑」の一つとして世界記憶遺産日本国内候補にも挙がっている。多胡郡と多胡碑の歴史を次世代に継承しようと取り組む「歴史と文化を学ぶ会」の結城順子理事長は、来年の正式発表を心待ちにしていると述べた。
「近江渡来人倶楽部」は2000年4月、在日韓国人2世の河炳俊さんが中心となり、多文化共生社会の実現を願って大津市に設立した。06年に「渡来人歴史館」、08年には「多文化共生支援センター」も開設した。河さんは「在日韓国人として地域社会に貢献していきたい」と強調した。
「百済の会」は枚方市に所在する特別史跡「百済寺跡」を顕彰し、地域活性化にも取り組んでいる団体。市教委、市文化協会と実行委員会を構成して毎年、「枚方・百済フェステイバル」を開催。韓国の忠清南道、全羅北道との交流にも取り組む。将来的には市内に残る各種史跡の世界遺産登録を夢見ている。事例発表に先駆けて、「『渡来人』と日韓関係の未来」(山崎雅稔・國學院大學文学部教授)、「『渡来人』と『日本人』」(田中史生・関東学院大学助教)と題した2つの記念講演があった。
■□
博物館でも企画展 國學院大學
日本に渡来した高句麗の末裔たちの足跡をたどる企画展「日本に根付いた渡来人‐高麗郡と高麗神社」が3日、國學院大學渋谷キャンパス内の同博物館で始まった。武蔵国高麗郡建郡1300年記念事業の一環。
主な展示作品は高句麗ゆかりの好太王碑の拓本や三国時代の古瓦、高麗郡の成り立ちを知ることのできる8世紀の二反田遺跡・道光林遺跡出土資料と女影廃寺・高岡廃寺出土瓦、高麗王を祀る高麗神社の歴史をうかがえる高麗氏系図など。
10月10日まで。10〜18時、入場無料。24日には14時30分から高麗神社の高麗文康宮司と同大の深澤太郎准教授によるミュージアムトークも。同博物館(03・5466・0359)。
(2016.9.7 民団新聞)