掲載日 : [2007-09-05] 照会数 : 7103
家族関係登録法来年実施へ 民団も対応
[ 韓国領事館の「戸籍」窓口も来年から名称が変更される ]
大幅に変わる概念
電算化で個人情報最小限に
韓国では、戸主制の廃止にともない、戸籍法に代わる「家族関係登録等に関する法律」が来年1月1日から、施行される。従来の父性主義を修正し、個人の尊重と両性平等の理念が具現化される。迅速な電算化処理で個人情報は最小限にとどめられる。手続きが大幅に変わるため、各地民団でも対応に追われそうだ。
これまでは戸主を中心に家単位に戸籍を編成してきたが、本籍という概念が廃止され、まったく異なる基準として「登録基準地」なる概念が導入される。登録基準地は家族めいめいが同一である必要はなく、個人が自由に変更できるものだ。来年1月からは個人別の登録基準地にしたがって家族関係登録簿が作成される。
戸籍簿に代わるのが家族関係登録簿で、戸籍謄・抄本は家族関係記録事項証明書に、本籍は登録基準地にかわる。
家族関係登録簿とは、書面帳簿ではなく、家族関係登録事項を個人別に入力・処理した電算情報資料を指す。電算システムに個人別人的事項を入力し、本人以外の関連情報は必要時に連結情報として抽出される。個人別編成方式により、情報処理の重複を避け、事務処理が単純化される。
家族関係登録簿は、現行戸籍の記載事項を基礎にコンピューターを利用し、個人別に自動作成される。したがって、家族関係登録簿の作成のために別途に申告する必要はない。ただし、2008年1月1日以降出生の場合は既存の戸籍がないので、出生申告により家族関係登録簿を新しく作成しなければならない。
現行の戸籍謄本は、発給を受けた本人のものだけでなく、同一戸籍内の家族構成員全員の人的事項が記載されるが、家族関係登録簿の家族関係証明書には、本人を基準に父母、配偶者及び子どもが記載されるだけで、祖父や兄弟、孫は記されない。
証明書は目的別に、▽家族関係証明書▽基本証明書▽婚姻関係証明書▽養子縁組関係証明書▽特別養子関係証明書−−の5種類が発行される。共通の記載事項は、本人の登録基準地・姓名・性別・本貫・出生年月日だ。
個人情報保護の観点から、記載事項は最小に制限され、本人以外の証明書申請には、委任状が必要になる。子どもの姓と本貫は父親にしたがうことを原則とするが、父母の協議で母親と同一にすることも可能になる。
各地民団では、詳細な施行事例が出しだい、領事館担当者を講師に実務者研修会を開催する計画だ。これまでとは全く異なる手続きになるため、民団中央民生局でもガイドラインを全国に配布する意向だ。
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主な用語変更
◇戸籍簿→家族関係登録簿
◇戸籍謄本→家族関係記録事項証明書
◇本籍→登録基準地
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Q&A
子どもが母の姓も
Q 来年からは子どもが母の姓を名乗ることもできるのか。
A 可能だ。婚姻申告をするときに、生まれてくる子どもが母の姓を使用することで合意した点を合わせて申告すれば、出生時に母の姓と本貫で家族関係登録簿に記載される。このような合意がないときは、子どもの福利のため必要だと認められる場合に限り、法院(裁判所)の姓変更審判を受け、母の姓を名乗ることができる。
再婚後も変更可能
Q 私は前夫との間に生まれた子どもを連れて再婚したが、子どもの姓を再婚した夫の姓に変更できるか。
A 2つの方法が可能だ。ひとつは、母親が法院に姓と本貫の変更審判を請求する方法。法院の許可裁判謄本を添付して子どもの姓変更を申告すればよい。この場合、前夫の同意は必要ない。いまひとつは、再婚した夫がその子どもを養子として入籍すること。ただし、この場合はその子どもが15歳未満でなければならず、再婚した夫の同意書を具備して法院の養子入籍決定を受ける。
(2007.9.5 民団新聞)