掲載日 : [2007-11-08] 照会数 : 5245
歴史の流れ浮き彫り 姜徳相氏が錦絵展で解説
[ 来館者に説明する姜徳相館長(中央) ]
在日韓人歴史資料館主催の「錦絵展」に幕末から明治中期にかけて日本の東アジア観を映し出す貴重な所蔵コレクションを出展した姜徳相館長(滋賀県立大学名誉教授)が10月28日、会場の韓国中央会館8階MINDANホール(東京港区南麻布)で自ら解説をした。
コレクションは約300点。会場では選び抜いた96点を年代別に展示した。木版多色刷りの浮世絵版画は目を見張るばかりの鮮やかさで、参観者の関心を集めた。
幕末から明治初期の作品には「三韓征伐」の伝説が伝えられる神功皇后や豊臣秀吉による朝鮮侵略、加藤清正の虎退治をテーマにした作品が目立つ。姜館長は「朝鮮は日本のものだったのだという一種のシオニズムが見て取れる。これらの錦絵はその後の対韓ナショナリズムの勃興を考えるうえでも基本的な資料となる」と話している。
新政府の誕生とともに、打ち出された「征韓論」、教科書に神功皇后の神話が登場したのは象徴的だったという。
清国との開戦間近になると、当時の作家が複数の錦絵を使って「日本国先進、朝鮮国後進」のイメージの刷り込みを図っていく。
姜館長は「わからず屋の朝鮮人はやっつけなければと、敵がい心を植え付けるのが目的。当時の日本に韓国侵略の意図があったこと、そして韓国との間で歴史摩擦があったことを知ることができる。明治の日本外交は朝鮮の植民地化と深く連動していた」と指摘した。
高麗博物館でも展示
7日からは会場を新宿区大久保の高麗博物館(第2韓国広場ビル)に移して開催される。問い合わせは同館(℡03・5272・3510)。
(2007.11.7 民団新聞)