掲載日 : [2007-11-14] 照会数 : 17072
<11・7決起大会特集>全国から団員の声
[ デモ隊の先頭に立って「共生社会の実現」を訴える山形の子どもたち
] [ 開場とともにゼッケンを受け取って入場する全国各地からの参加者たち ]
民団の底力見せた
決起成功を次へのステップに
「継続は力」の信念で
決起大会参加者は地方参政権獲得に向けてあらためて決意を新たにした。全国の参加者から声を聞いた。
「すごい!」実感
東京・朴永敦君(23)指紋押捺の体験もないので参政権に関してはそれほど必要性を感じないでいた。しかし、集会でお年寄りから「自分たちよりもこれからの若い人たちのために頑張っているんだ」との話を聞き、自分たちが求めていかなければ道は開けないのだと思い知った。これだけ会場一杯に集まった同胞達を見て、「すごい!」と実感した。参政権について勉強しなければという気になった。いつのまにか自分の気持ちが高揚した。
韓日同時開放を
愛知・沈和憲氏(35)韓国でも国際化推進と開かれた社会づくりの一環として定住外国人に地方参政権を認めている。欧州ではすでに実施されているが、アジアでは韓国が初めてだという。いいことは日本も見習い、地方自治の本旨にのっとり定住者に積極的に門戸を開放すべきだ。
参加者に感謝
東京・申正意氏(61)(会場を見渡しながら)こんなに関心があるとは思わなかった。こんなに来るとは信じられないくらい。あふれんばかり。民団もたいしたものだ。これで来年にも国会で法案が成立してくれたら最高だけどな。個人的には6、7年に一回の大規模決起大会に仕事を休んでも参加してくれるのは当然だとは思いながらも、葛飾は零細業者が多いので、(申し訳ないとの思いで)往路のバスの中では2回も頭を下げた。
やる気が動かす
広島・李英俊氏(46)こういう形で団結して行動を起こすことこそが大事だ。日本社会、市民にはこういうアピールのほうが浸透する。青年会当時もアンケート、行脚隊など、身をもって行動することで理解してもらったことを思い出す。「ください」ではなく、理解してもらうことが求められている。指紋押捺は明らかに差別的だったが、地方参政権は一般に理解されにくい。われわれの行動とやる気が日本政府を動かしていくことだろう。
この時期逃すな
奈良・裴昌煥氏(70)広い県内に同胞が分散して住んでいるので、1度に集まってバスに乗るまでも大変だった。11時間かけて上京してきたが、予想を超える同胞が全国から集まり、私たちの思いがここに結集したのだと思う。この時期を逃しては駄目だ。金守漢氏の激励辞に大いに燃えた。
法のかい離正せ
長野・金光慶氏(48)長野では在日韓国人を区別なくすっと受け入れてくれる土壌がある。地元の青年会議所では私自身役員をやったし、本名で活躍している同胞も多い。このほか、私たちの同胞は自治会などでも役員をやっている。これは在日同胞が地域社会で認知されていることを示している。なのに、こうした現実に法がついてこないのがなんともやるせない。今度こそはなんとしてでも地方参政権を獲得したい。
社会貢献したい
岩手・金龍美氏(40)日本で生まれ、永住権を有し、納税の義務を果たしている。日本人とおなじ生活を営んでいるのに、権利である選挙権がないのはおかしい。地方参政権を獲得できれば、在日韓国人は日本社会でもっと、もっと、貢献するようになるのではないか。今回の全国決起大会をステップにして、ぜひ実現できるようにしたい。
住民の権利要求
富山・張英浩氏(59)今日の集会のために、妻と一緒にきのう東京に来た。このような全国集会への参加は初めてです。日本各地に住んでいる同胞と手を取り合って、法的地位の向上とあわせて住民の基本的権利として地方参政権を強く要求したい。私たちをはじめ、定住する人にとって、住みやすい環境を整えるためにがんばっていきたい。
一家総出で参加
福島・白承玉さん(49)娘は大学を休み、私たちは仕事を休んだ。それぞれの時間調整が大変だったが、一家総出の5人でやって来た。会場に来て、盛り上がりのすごさに驚くとともに、必ず勝ち取ってゆけるものと確認した。
おかしいから声
岐阜・丁鍾瑚氏(49)在日への地方参政権付与は当たり前のことだ。いまだに認められていないのはおかしい。おかしいことについておかしいと声を大にするのは当然である。だから、今日の決起大会に参加した。親の代から日本に住み、日本で生まれ、ずっと税金を納めて生活している在日に選挙権すらないのは絶対におかしい、と日本人の友人たちも言っている。
強い意思感じた
大阪・呉武義氏(61)なんといっても5000人も集まったということに勇気がわく。参政権獲得にかける同胞の強い意思を改めて感じた。子どもたちの権利のために、そして日本が開かれたいい国になることを願い、前回同様、妻と一緒にやって来た。
激励辞聞き希望
兵庫・高正慶氏(45)マスコミの参政権問題の取り上げかたや日本社会の雰囲気を冷たいと思っていたが、各政党代表の心のこもったあいさつを聞いて、思ったよりも日本人と連帯できているのではと感じた。多少希望が持てる。
時間が解決する
岡山・宋燦錫氏(59)6年前より雰囲気はいい。各政党のあいさつも今まで通りのおざなりで儀礼的なあいさつではなく真実味があり、手応えを感じた。会場に集まった参加者たちの熱気や熱意も伝わってきた。子どもたちのためにも頑張りたい。とにかく決着をつけよう。あとは時間の問題だ。
今度こそ実現を
東京・崔光礎氏(54)地方参政権獲得運動には東京青商在籍時代からかかわってきた。国会議員アンケートをやったときは何回も永田町の議員会館に足を運んだことが思い出される。過去、法案が上程されながら継続審議になったときは正直、がっかりした。それでもあきらめず、今度こそ、今度こそとの思いで頑張ってきた。91年問題も指紋押捺も勝ち取ってきたというのに、この問題だけが残った。しばらく忘れかけていた問題だが、今回が最後との思いで参加した。
通らないと困る
群馬・金新春さん(63)群馬から朝7時のバスで来た。参加人数こそ少ないが、やる気は満々。私自身、朝食べずに来た。この運動が始まって14年。今度こそは絶対通してもらわないと困るとの思いだ。これが通らないとどうしょうもない。もし、通らなかったら日本政府のこと恨みますよ。税金はしっかり取られているというのに……。
もう待てないぞ
神奈川・李容徳氏(77)これだけ運動してきたというのに、いまだに実現していないとは。遅すぎる。はっきり、あっさりと認めて欲しい。6年前の集会にも参加したが、さらにもう1度ここに来ようとは思わない。もう結構だ。私に残された寿命はせいぜいあと4、5年だろう。それまでに実現できなかったらもう恨みしか残らないだろうね。
疎外状況改善を
北海道・李智博氏(34)地方参政権問題は家族皆の関心事なので、両親と姉の4人で参加した。政治と経済の結びつきは強く、経済活動をするうえで政治と関連する部分は多い。在日同胞は選挙権がなく、政治に関しては疎外されてきた。言いたいことも言えない。こうした状況から1日も早く脱するためにも、みんなで行動していかなければならない。
納得がいかない
青森・丘周善さん(34)日本人に嫁いだが、韓国籍のままだ。娘は日本籍だが、母親が韓国人であることを知っており、教えなくても、韓国の文化に自然と関心を持ち始めている。自分が日本籍を取得しても、中身は変わらない。日本人でも禁固以上の刑執行中の者には選挙権が停止される。私たちは永住権を持ちながら、選挙権がないのは納得がいかない。納税の義務を果たしている以上、地方参政権は人間としての基本権だと思う。
なにがなんでも
宮城・金海玉さん(61)在日韓国人は日本に永住しており、地方参政権を持ってもなんら不思議はない。むしろ、持っていないのが異常だ。地方参政権を持てば、日本のために、そして韓国との懸け橋役として、地域の発展にこれまで以上に貢献すると思う。子どもや孫たちにもそのように期待しているだけに、何が何でも「1票」がほしい。
理解者広げよう
福島・申成子さん(54)日本の教育を受け、納税の義務を果たすなど、日本人と変わらない生活をしている。なのに参政権だけはなぜ除外されるのか。子ども達が、友人と選挙の話をする時、自分に選挙権がないことを話そうとしても、なかなか納得のいく説明が難しいようだ。在日韓国人の歴史を知る機会を増やし、理解者の輪を広げるべきだと思う。
具体的な行動を
和歌山・陳京子さん(62)日本の政治家はいろいろといいことを言ったが、前回の全国大会からすでに6年もたっている。耳に心地よい言葉だけでは不安だ。具体的な行動がともなわないと。子どもや孫、次世代のために一日も早く実現させてほしい。
獲得1日も早く
石川・鄭泰鉉氏(80)1日も早く地方参政権を獲得したい。この機会に日本社会に強くアピールしよう。私は7歳の時に父母とともに来日した。若い世代が韓国人として堂々と生きていけるようにするためにも地方参政権は必要だ。韓国政府は永住外国人に地方選挙権を付与しており、昨年の地方自治選挙では韓国に住む日本人も投票している。日本政府も早急に認めてほしい。
若い世代のため
三重・金三南さん(72)日本政府が憎らしい。税金を払っている私たちを差別扱いし、地方参政権を未だに認めていないのはおかしい。差別をなくし共生社会の実現のために、今度こそ参政権を獲得したい。生まれ故郷を離れ、植民地統治国で差別されながら生活せざるを得なかった親たちの悲しみと苦しみを思い、若い世代のことを考えれば、地域住民の権利として早く参政権を認めてほしい。
悔し涙を流した
鳥取・徐貴玉さん(61)思ったより多くの人が集まった。参政権は子どもたちのためにも絶対に獲得したい。これまで何年もかけて運動を行ってきたが認められず、悔しくて涙が出たほどだ。差別をなくし、日本に暮らす住民として、同じ人間だということを認めてほしい。
いまがチャンス
広島・徐明花さん(35)福田首相になってチャンスの芽が出てきた。さらに押しをかける気負いが出ていい。今日は思ったよりたくさんの人が集まり、意識が高まってきていると感じた。この問題は在日だけではなく、日本人の目に触れる機会が増えることが大事。日本人の一般市民に広まり、同じ住民として認めてくれることが大事だ。
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賛同団体
確かな手応え
在日無年金関東ネットの東京・柴田文恵さん
決起大会では、もっとぶちまけたい怒りと恨みがあるのに抑えて、慎重に、しかしながら熱く地方参政権を求めるアピールが続き、胸を打たれました。税金は日本人以上に厳しく取り立てられてきたのに社会保障においては不合理な扱いを受け、そのうえ、声をあげようにも参政権がないなんてまったくもっておかしな話です。
ましてや地方参政権は、在住する地域施策の決定に関わる権利であり、最も身近で、重要な権利です。当然の権利を隣人の手に1日も早く取り戻さなくてはと、あらためて強く感じました。
国民新党を除くすべての党からしかるべき議員が激励に駆けつけ、最後まで共に参政権を求めて思いのたけを語ったことにも驚きました。通常、どのような集会でも、議員は最初にあいさつをしたらそそくさと帰るものです。この度の要望は間違いなく通るのではないかと手応えを感じました。
永住外国人は日本人以上に政策の動きに左右されやすく、政治に対する関心が高いのですから、地方参政権が実現すれば現在50%を割り込んでいる投票率が上昇し、触発された日本人の投票率もぐんぐんあがることは間違いないでしょう。良い政治は住民の注視と活発な意見があってこそ実現できるものです。
有楽町の駅前で警察官に取り囲まれた右翼とみられる人士が陣取り、罵詈雑言のアジテーションとボードを振りかざしていました。日本人として恥ずかしく、情けなく、顔から火が出るようでした。彼らの主張には何らの合理性もなく、最も打ちのめされたのは、日本人である私だったからこそかもしれません。
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沿道から
沿道でデモ行進を見ていた日本人からも声を聞いた。
参政権付与に賛成
広島からやってきた松岡昌子さん(64)は「在日韓国人は日本に永く暮らしている。地方参政権の付与は賛成です」と前置きし、地域住民の力が結集することが大事ですと語っていた。
実感わかないが
また、ある日本人男性(60)は「在日韓国人が日本で生活をするうえで不便や不都合があるからだとは思うが、周りに在日韓国人の方がいないので、実感としては分からない。具体的な説明がほしい」と語ったが、韓国で永住外国人の地方参政権を認めていることを知ると、「それだと話が少し違う。日本が国際化されていないのは確かだ」と話した。
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東京韓学生徒の声
永住者に当然の権利
「内なる国際化」望む
金賢彬君(高等部1年)地域住民の一員としてその地域から代表を選ぶ時、永住外国人が投票に参加するのはあたりまえじゃないでしょうか。たとえば、学校でクラスの代表を選ぶ時、『お前は外国人だからだめだ』と言って排除することとなにが違うというのでしょうか。
黄恵麟君(高等部2年)日本が真の先進国として国際社会から尊敬されることを望むなら、「内なる国際化」こそが最優先されるべきだ。口先だけ『共存共栄』を叫ぶ一部の日本の政治家がかわいそうに感じられます。もっと大きく目を開いて地球村を直視して欲しいと思います。
(2007.11.14 民団新聞)