掲載日 : [2007-10-24] 照会数 : 13213
「参政権」一挙前進へ機熟す 相次ぐ意欲的発言
[ 民団陳情団を拍手で迎える各党代表(01年6月) ]
各党有力議員 11・7決起大会に期待
「永住外国人に地方参政権を! 11・7全国決起大会」まであと2週間。民団は01年6月以来6年半ぶりの大規模行動に向け、参政権推進委員会を中心に各政党や国会議員、市民団体に協力を働きかけているが、各方面の反応は良好だ。ここ数年の停滞を補ってあまりあるほど、事態が一挙に前進する可能性が見えてきた。
参院で民主党が第一党に躍進し、野党が過半数を占めたばかりか、自民、民主の勢力伯仲、衆参のネジレ現象など政局の緊迫化がまずある。さらに東アジア諸国、在日外国人問題には閉鎖的で、国家主義的な性向が露骨だった小泉・安倍両政権時代への反発から、軌道修正バネが働いているのも見逃せない材料だ。
永住外国人への地方参政権付与に対して、民主党をはじめ各野党は前向き姿勢を変えていない。与党でも公明党は、積極推進の立場で一貫している。消極的あるいは後ろ向きとされる自民党も、党論としては反対を明示していない。公明党との連立による政策協定など、公然と反対できない経緯と現実がある。
参政権に熱心な政党や国会議員、市民団体はほぼ一致して、緊迫した政局と軌道修正バネの相乗効果を生み出すことで、早期成立への足場を固め得るとの認識だ。それだけに、11・7全国決起大会への期待は大きい。
ある野党の代表は、「なぜ、6年以上も大きな声を上げなかったのか」と指摘し、「大会を全面的に支援したい」と語った。また、日韓議連の重鎮は「政治生命をかけて絶対にやる」と決意を表明した。
民主党は反対議員を抱えているが、法案提出政党と参院第一党のプライドにかけて、参政権問題を積極的に取り上げる構えだ。場合によっては参院で発議・可決し、衆院に圧力をかける方式もあり得るという。
自民党の有力議員は、「参政権問題は、与党の自民・公明と民主党の3党で、決して対立する問題ではない」との認識を示し、「自民党には公明党のより強力な働きかけが欲しい」と表明した。同党の別の有力議員も「論議は尽くされ、機は熟している。福田首相の誕生を機に一気に成立を」と意気軒昂だ。
公明党は党としてはもちろん、指導的な議員の多くも参政権実現へ執念を燃やしてきた。公明党は今回の自民との連立に当たって、参政権推進を含む政策協定を厳しく再確認したという。8年を経過した自公連立で、譲歩し過ぎたとの自省から自己主張路線を強めれば、自民党を動かす可能性は広がる。
参政権問題は政治倫理・公職選挙法改正特別委員会(倫選特委)で扱うが、98年10月に民主党・新党平和(公明)が共同提出して以来、すでに9年が経過し、自民党を除く与野各党が法案を提出してきた。その自民党も公明党の法案提出には事前了承をつけている。99年8月、00年5月、同11月、04年11月の通常・臨時国会で十分な審議を重ねてもきた。
参政権付与法案の画期は、その成立を約束した99年10月の自民・自由・公明3党の連立政権政策合意にある。公明党の冬柴鐵三幹事長(現・国土交通相)と自民党の森喜朗幹事長(元首相、現・日韓議連会長)が中心になって煮詰め、時の小渕恵三首相の前向き判断で実現した。冬柴氏が作成した法案に、民主党も積極的な賛意を示し、無修正で共同提案をした実績もある。
参政権付与は主要政党の基本政策であるだけでなく、森元首相が会長を務める日韓議連が、韓日議連との年次総会で毎年、早期成立を決議しててきた。金大中大統領が98年10月、盧武鉉大統領が03年6月、日本国会での演説で付与を求めている。相互主義原則を尊重した韓国は05年6月に、在韓日本人を含む19歳以上の永住外国人に地方参政権を付与した。
参政権付与は与野各党の公約であるばかりか、実質上、韓国との国際信義ともなっている。問題は自民・民主の2大政党の国会議員に、少数とはいえ強硬な反対派がいることだ。しかし、政党間で鋭く対立する問題ではない以上、この間の煮詰まりを土台に大きく一歩を踏み出す時にある。
(2007.10.24 民団新聞)