掲載日 : [2004-07-14] 照会数 : 6518
「公共性無視許されぬ」 民団会館にも課税の動き(04.7.14)
中央本部…実態ふまえて善後策
地域社会で果たしている公共的性格から固定資産税を免除されてきた民団所有の土地・建物に対し、一部自治体が課税の動きをみせている。日本人拉致とのからみで総連に対する厳しい対応が民団にも飛び火したかっこうだ。民団中央本部では実態を把握し、善後策を講じる方針だ。
これまで自治体から課税を迫られていることが明らかになったのは愛媛と対馬の各民団本部の土地と建物。
民団愛媛県本部は松山市当局から20年以上にわたって全額減免認定を受けてきた。ところが5月に調査を受け、その結果に基づいて6月4日付で納税を求める決定通知が届いたことに陳信之事務局長は戸惑いを隠せないでいる。
「87年から民団愛媛本部で事務局長をやっているが、立ち入り調査を受けたのはこれが初めて。この時期、総連だけ課税すれば公平を欠くと、民団側にも課税したのだろう。総連たたきの返り血を浴びた」。
陳事務局長が独自のルートで調べたところによれば、市から同じように減免認定を受けていながら今回認められなかったのは、民団と総連の両団体だけだったという。課税額は6万円とわずかだが、陳事務局長は「金額ではなく信義の問題」と中村時広市長に宛てて近く固定資産税の減免申請を求める「陳情書」を提出する。
これに対して、市の資産税課では「減免申請を受けた時点できちっと調査しないといけないのにこれまで制度や慣習をうのみにし、なおざりにしてきた。決して拉致がらみで特別にやったわけではない」と話している。 97年に会館を新築した民団対馬県本部は当時、上対馬町役場に固定資産税の減免措置をして断られた。これについて対馬市役所上対馬支所は「市町村合併以前の上対馬町当時は適用できる条例がなかった」という。
民団会館以外では神奈川の韓国商工会議所と韓国綜合教育院の土地・建物が、横浜市によって固定資産税の見直しが進んでいる。横浜市は「昨年夏、市内の11カ所の減免施設を調査した結果だ。自治会や町内会のように実態が従前どおりであれば問題ない。個別のケースについては答えられない」と慎重な言い回しに終始している。
昨年11月に市役所から不動産取得税300万円の納税通知を受けて異議申し立てをしたという民団埼玉県本部の景民杓事務局長は「民団は『10月マダン』に代表される多文化共生フェステイバルや韓国語講座、韓国料理教室をやって地域社会に貢献している。公民館や役所と同じ役割を果たしていると説明して理解してもらった」という。
横浜市内で税理士事務所を営む李富鉄さんは、「民団会館はその公共的性格からして固定資産税は該当しないが、日本の役所は民団も総連も関係ない。地方税は国税ほど厳しくないので話し合いの余地はある」と話した。
(2004.7.14 民団新聞)