掲載日 : [2004-07-21] 照会数 : 6730
漫才で韓国に挑む お笑いコンビ「チング」(04.7.21)
[ 吉井慎一さん(右)と高須賀浩司さん ]
文化差はネタの宝庫
ボケの吉井慎一(27)とツッコミの高須賀浩司(30)が出会ったのは別々のコンビで活動していた5年前。
友人だった2人が「チング」を結成するきっかけは02年10月の吉井の釜山旅行だった。韓国に興味はなかった吉井だが、タクシーの運転手や地下鉄の物売りなど、韓国特有のおもしろさに惹かれた。韓国には「漫才」がないことを知り、高須賀に声をかけコンビを結成したのが昨年10月。今年3月にソウルに渡った。 吉井は兵庫県神戸市出身。在日同胞との交流が盛んな環境で育つ。日本人だと思い込んでいた当時の恋人の運転免許証には「本籍・韓国」と記されていたが吉井は全く気にならなかった。
一方、高須賀は四国・愛媛県出身。郷里で韓国を身近に感じる機会はあまりなかった。しかし、韓国に移り住んだ現在は日本よりも住みやすい国だと感じている。
6畳間の下宿に2人暮らし。独学で毎日4時間は韓国語を学ぶ。
5月にはソウルの日本大使館で公演した。
韓国の人気お笑い番組「ギャグコンサート」の前説に飛び入りで参加したことも。約10分という短い時間で本番収録よりも笑いがとれた。
韓国語で披露するのは韓日の文化差をネタにしたコント。「ワリカン」の概念が薄い韓国人には日本人のせせこましい「ワリカン」ネタがうける。デートの別れ際、颯爽と去っていく韓国人男性に対し、恋人にデート代を請求する日本人男性。
おもしろければ素直に笑ってくれる一方、おもしろくなければ平気でつまらない顔をするのも韓国人だ。
日本文化の開放が徐々に進む韓国だが「バラエティー」などの娯楽番組は開放されていない。日本のお笑い番組を翻訳つきで放送しても笑いはとれないだろう。韓国の文化や言葉を習得したうえで、自分たち2人が広めたい。言いたいことを言いあえる国にしたい。政府同士の話し合いで解決できる問題は役人が、友人同士でも指摘されると気に障るような両国の「良い点・悪い点」も「お笑い」という手段なら自分たちが笑わせることで昇華できる。
現在、韓日の滞在比率は9対1。日本帰国時はビザの取得と韓国での生活費稼ぎに励む。仕送りはない。裕福な留学生が羨ましくなる時もあるが、苦労せず韓国での成功を掴もうと思わない、と「チング」は笑った。
ホームページは
http://yume.candypop.jp/
(2004.7.21 民団新聞)