掲載日 : [2004-07-14] 照会数 : 6770
兵役トラブル解消へ一歩 語学修学生など救済(04.7.14)
[ ソウルで開かれた兵務行政懇談会(5月30日) ]
韓国兵務庁が民団に回答…在日の特殊性に配慮
在日同胞子弟の兵役をめぐるトラブルが多発しているのを受け、民団中央本部がこの間、韓国兵務庁に善処を要望してきたことに対し2日、同庁から前向きな回答があり、短期語学修学者などいくつかのケースについて救済措置が明確に示された。この措置は20日から実施される。
兵務庁からの回答はさる5月30日に、同庁が初めて海外同胞団体の代表を招いて開いた「兵務行政懇談会」において、民団中央本部が提出した「在日同胞子弟の兵役問題に関する請願書」に対するもの。
民団はこの「請願書」で、在日社会の歴史的な特殊性を踏まえ、8項目の善処を求めた。今回の回答によって、そのうち3項目についてまず大きな前進があった。
第一に、特別永住者が「在外国民2世」印の捺印を申請する際、「父母の滞留資格の確認が省略される。民団では、「兵役が免除される特別永住者の資格は、父母のどちらかが特別永住者でないと付与されないため、特別永住者が『在外国民2世』印の捺印を申請した際には父母の在留資格の確認は必要ではない。したがって捺印申請時の提出書類を簡素化してほしい」と要請していた。
第二に、大学付属の語学堂在籍者の場合も「正規教育課程在学者と同様に、母国修学生として」扱われることになった。民団は、「在外国民2世」に該当しない者が母国修学のために韓国内の語学堂等に在学する際、語学堂が正規教育課程として認められず兵役問題が発生しているため、正規教育課程の履修者と同様の母国修学生として兵役を延期することを要請してきた。
第三に、兵役法抵触者には、事前戒告によって注意が喚起される。これについても民団では、「大多数の在日同胞が兵役法と施行令について知らない状態で本国に居住しているため、もし兵役法施行令に抵触した者がいる場合は、身辺整理期間を付与してほしい」と要請。兵務庁はこれに対し、「3か月間の出国戒告の後、義務を賦課する」との方針を明示した。
これまでは、離婚などで父母のどちらかが消息不明となり、在留資格証明書類を添付できなかったという理由で兵役が免除されなかった事例や、語学堂が正規教育課程でないために1年だけで勉学の夢を断念せざるを得なかったなどの事例が後を絶たなかった。
また、在日同胞子弟に対する兵役義務の賦課について、兵務庁と地方兵務庁や駐日公館兵役担当者との間に食い違いがあった。兵務庁はこの点についても民団の要請を受け、地方兵務庁と駐日公館に対して今回の措置内容を通告し、見解の統一を図った。民団中央本部では、「在日国民に対する兵役免除条件の明確化」など、要請が実現していない事項に関して、要望活動を引き続き展開していく方針だ。
(2004.7.14 民団新聞)