掲載日 : [2004-07-14] 照会数 : 4251
「難民として認めて」 脱北者支援センターが訴え(04.7.14)
[ 集会で自立への苦闘を語る元在日脱北者 ]
北韓を脱出して命からがら日本に渡ってきた元在日同胞への人道的支援を続けている脱北者支援民団センターは1日、東京・南麻布の韓国中央会館で設立1周年を記念する集会を開催した。集会には関係者150人余りが参加した。
冒頭、センターの呂健二代表(民団中央本部副団長)は「元在日同胞脱北者が日本で安定した生活を営めるよう一人でも多くの力を貸してほしい」とあらためて呼びかけた。
脱北者のひとり、金光一さん(仮名)は集会で「いちばん辛いことは、いまだに自分の立場を明かせないことだ。就職に際しても履歴書をごまかすしかなかった」と苦しい胸の内を語った。孫麻里さん(仮名)も「身分証明書の代わりとなる外国人登録証をつくるのに7カ月もかかり、その間は銀行口座も開設できなかった」と明かした。
センターでは脱北者が日本で1日も早く自立した生活を送れるよう住居の確保と就職先の斡旋、および日本語の習得などの便宜を図ってきた。しかし、北送責任の一端を担い、かねがね人道支援を約束してきた日本政府の取り組みは遅々として進んでいないのが現状。
センターでは集会の最後にアピールを発表、日本政府が脱北者を難民として認定し、当面の生活安定のために必要なあらゆる処置をとるよう訴えた。
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癒えぬ精神的外傷 在日同胞医師面談調査報告
日本在住の脱北者は一部の例外を除いて多くがいまも癒えない精神的な外傷を抱えていることが在日同胞の李創鎬医師による個別面談の結果、明らかになった。李医師がセンターの1周年記念集会で中間報告した。
要因としては中国での潜伏生活の長期化、脱北過程での逮捕と拘留、尋問などが複雑に絡み合っている。日本入国後も満足のいく就職先も見つからず、家族を北韓に残したことによる自責の念にも苦しんでいる。
ある60代の女性は、北韓に残した家族が自身の脱北によって拘留され、暴力を伴う尋問を受けたことを知った。それ以来やりきれない思いに悩み、不眠が続いている。同じく30代の女性は中国での潜伏生活中、いつ逮捕されるかもしれないという極度の緊張状態によるストレスがいまも尾を引いているという。
脱北者はこれからもさらに増えていくことが予想されるだけに、李医師は「さらなる支援態勢の拡大、ネットワーク化が望まれる」と締めくくった。
(2004.7.14 民団新聞)