掲載日 : [2017-02-22] 照会数 : 5325
東京弁護士会「抗議声明」…外国籍司法委員の推薦認められず
国籍について規定なし
東京地方裁判所が外国籍の司法委員候補2人の名簿登載を拒絶していたことがわかった。「(国籍にかかわらず)十分な的確性を有している」として会員を推薦した東京弁護士会は8日、小林元治会長名の「抗議声明」を発表した。
東京弁護士会は2016年9月15日、東京地裁から依頼を受けて17年度の司法委員候補として複数の会員を推薦した。東京地裁はこのうちの2人について日本国籍の有無を照会してきたが、同弁護士会は「司法委員の選考事務に必要とは認められない」として回答を拒否していた。
司法委員は民事訴訟に市民の声を反映させることが適切であるという理念に立脚した制度で、法的地位は特別職国家公務員。和解の補助をしたり、審理に立ち会い事件について意見を述べることができるが裁判所に対する拘束力はない。「良識ある者」が唯一の規定要件であり、国籍については規定がない。一方、最高裁判所は「司法委員は公権力の行使又は国家意思の形成への参画に携わる公務員にあたり、『当然の法理』ゆえ日本国籍を有することが資格要件である」との立場をとっている。日本国籍を有しない者が司法委員になったという実例はこれまで確認されていない。
東京弁護士会によれば、同会が司法委員や調停委員の推薦を撤回せざるを得なかった事例は06年から続いている。
(2017.2.22 民団新聞)