掲載日 : [2017-02-22] 照会数 : 5523
詩人・尹東柱生誕から100周年…ゆかりの地で追悼行事
[ 尹東柱の「セロウンキル」を朗読する李香順さん ] [ 京都造形芸術大学敷地内に建つ詩碑 ]
その清冽な詩で韓国のみならず日本でも多くのファンを持つ詩人・尹東柱の生誕から今年は100周年。尹東柱を愛してやまない人たちが東京と京都で追慕・追悼行事を繰り広げた。
文化人が共同で
在日韓国YMCA
東京・千代田区の在日韓国YMCAは日本に留学した尹東柱が最初の2週間滞在したゆかりの会館。16日の命日に合わせ「尹東柱詩人を懐かしむ夜」(ソウル詩人協会主催、民団中央本部など後援)が開かれ、韓日両国の文化人、在日同胞など100人余りが参加した。
主催者を代表して閔允基会長は「日本で両国の文化人が共同で尹東柱の追悼行事を開くのは始めて」とその意義を強調。韓国の詩人、柳子孝氏は「きらびやかな彼の詩を媒介とし、韓日の文壇交流が続くことを願う」と述べた。来賓として参加した駐日韓国大使館の李俊揆大使は「人間、尹東柱をより深く理解できる行事だ」と評価した。
植村隆・韓国カトリック大招聘教授(元朝日新聞記者)は主題講演で、「32年来のファン」と告白した。出逢いは全詩集『空と風と星と詩』が影書房から翻訳出版された1984年のこと。12年には在日同胞詩人、金時鐘氏の翻訳で岩波文庫からも発刊され、「不朽の名作」として評価が定着した。植村さんは「困難にぶつかったとき、彼を思い出すだけで魂が清められ、新たな勇気がわいてきた」と述べた。
2部では参加者がそれぞれ好きな詩を朗読した。「セロウンキル(新しい道)」を朗読した李香順さん(在日韓国人連合会文化局長)は「心が洗われるような思いがした」と感想を述べた。会場にいた呉永錫さん(新宿韓国商人連合会会長)は尹東柱を「学校の時から折に触れて私の心を泣かしてきた先生」と思いのたけを語った。
韓国側の関係者は17日、尹東柱が東京の立教大学に続いて学んだ同志社大学など京都のゆかりの地を訪ねた。
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詩碑の前で献花…京都造形芸術大学
【京都】尹東柱が生前、暮らしていた家の跡地に建つ京都造形芸術大学高原学舎でも16日、追悼会が営まれた。河泰允駐大阪総領事、河相泰民団京都本部団長をはじめとする韓日の関係者50人が、代表作「序詩」が刻まれた碑に献花した。
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同志社大でも
一方、尹東柱の母校同志社大学では11日、今出川キャンパスに建つ詩碑前で記念の献花式が行われ、100人が参加した。「序詩」を韓国語と日本語で朗読した際には、大阪の金剛学園高等学校から参加した生徒がリード役を担った。
(2017.2.22 民団新聞)