掲載日 : [2020-08-13] 照会数 : 5166
関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典、都が一転…誓約書提出求めず許可
[ 「関東大震災朝鮮人犠牲者追悼碑」(都立横網町公園) ]
東京都は都立横網町公園での9月1日の「関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典」の開催にあたって、「誓約書」の要請を取り下げていたことがわかった。都建設局が7月29日、「9・1関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典実行委員会」(宮川泰彦実行委員長)との話し合いの席で明言した。「誓約書」の提出を前提としていた実行委員会の占用許可申請はその日のうちに受理された。
都建設局は昨年12月、同実行委が2020年の追悼式典に向けた占用許可申請に対し、「公園管理上支障となる行為は行わない」「(集会で使う拡声器は)当該参加者に聞こえるための必要最小限の音量とすること」などの順守を求めてきた。さらに、これを守れないときは「次年度以降、公園地の占用が許可されない場合があることに異存はありません」という誓約を求めていた。
これは、追悼式典と同日・同時刻に横網町公園内で虚偽のヘイトスピーチを叫ぶなどして「慰霊の公園」の静穏を破ってきた右翼団体を規制し、「トラブル」を回避しようとしたものとみられる。
しかし、実行委は「ヘイトスピーチなどの問題を起こしている集会と、なんの瑕疵もない追悼式典を同列に規制することは公正ではない」と要請を認めず、5月18日に撤回を求める声明を発表。反響は大きく、「誓約要請撤回」を求める署名は3万人を超えた。さらに知識人127人と1団体が賛同する共同声明、自由法曹団東京支部からの声明、東京弁護士会の会長声明も発せられた。
建設局は横網町公園の使用にあたって守るべき10項目からなる「注意事項」を示したが、いずれも常識的なものばかり。「追悼式典は例年通りに行うことができる」としている。
コロナ対策のため当日はネットで生中継
今年の式典行事は新型コロナウイルスの感染拡大の勢いが収まる気配がないことから、関係者だけで執り行う。一般向けには実行委が当日午前11時から約1時間強、インターネットで中継する。yahooやgoogleで「Movie Iwj」と検索すればアクセス可能。
「妨害団体の言動はヘイト」都が認定
追悼式典を挑発的意図をもって妨害した右翼団体の昨年9月1日の言動については都は3日、「都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例」にのっとり、「不当な差別的言動に該当する表現活動であると判断した」。
都が問題としたのは、①「犯人は不逞鮮人、朝鮮人コリアンだったのです」②「不逞在日朝鮮人たちによって身内を殺され、家を焼かれ、財物を奪われ、女子供を強姦された多くの日本人たち」③「その中にあって日本政府は、不逞朝鮮人ではない鮮人の保護を」といった表現活動の内容。
審査会は「本邦外出身者を著しく侮辱し、地域社会から排除することを煽動する目的を持っていた。不当な差別的言動はあってはならない。適切な措置をとるべき」と答申していた。
(2020.08.13 民団新聞)