掲載日 : [2020-12-02] 照会数 : 6519
外国人採用が当り前の世界に…青商連会長 朴永鎮さん
外国人の人材に特化した人材派遣・紹介会社「ヒューマンパワー」を運営する在日3世の代表取締役社長、朴永鎮さん(42)。高校卒業後、韓国とアメリカに留学し、日本でも在日としていい思いもつらい思いもしたという経験は、異国で苦労する留学生の気持ちを理解する上で役立っていると話す。目指すのは「外国人の採用が当たり前の世界になること」。朴さんは今年6月、在日韓国青年商工人連合会の第40期会長に就任し、二足のわらじを履く生活を送っている。
韓国と米国留学の経験生かし
人材派遣・紹介会社を経営
朴さんは、ヒューマンパワーの母体であるグループ会社で、父親の朴時賛さん(現・理事長)が創業した「赤門会日本語学校」で勤務した後、2014年に独立し、外国人留学生や日本に滞在する外国人の就職を支援する業務を開始した。
14年当時、求職者の大半は韓国と中国の人たちが占めていたが、ここ数年はベトナム、ミャンマーが伸びているという。 新しい流れでは「6年前くらいから韓国やベトナムなどの母国で大学を卒業した学生が日本語を学んだ後に、日本の会社で働きたいというニーズが高まっている」ことだ。
日本では、慢性的な人手不足を補うために19年4月に在留資格「特定技能」が新設された。外国人労働者の受け入れは介護、外食、宿泊など14業種で、最長5年の就労が認められる。外国人にとっては、職業の選択肢が広がったことになる。
朴さんによると、一般的に就職を希望する人たちは総合職か一般職を望む人が多いと話す。だが外国人が総合職に就くのは簡単なことではない。
経営者との面会に力
就職者にはアドバイス
「会社側は総合職になぜ、外国人なのかとなる。私たちは求職者のスキルをみながらセールスポイントを見つけて企業に売り込むこともある」一方で、「求職者には足りない部分を補うために、これを勉強しましょうとか、資格を取りましょうというアドバイスをしている」。
幅広い仕事のニーズが高まる中で、朴さんはより多くの経営者と会うことに時間を割く。「会社というのは生き物です。1年前と今日では仕事の内容も違ってくるし、幅広い業種があるので、一つでも多くの会社を知ることに務めている」
ベトナムにも
現地法人設立
現在、同社は大阪営業所のほか、ベトナムのホーチミンに現地法人を構える。朴さんから見た、就職に結びつく確率の高い人物とは「なぜ日本で働きたいかという目的が明確」で「意志の強い人」だと指摘する。
朴さんはベトナムの学生を例に挙げた。「ベトナムの学生は、日本で学んだものを生かして母国で起業したり、ベトナムに進出している日本企業に就職するケースも少なくない」とし「日本語を覚えるということは、自分の生活を豊かにすることにつながっている。だからハングリー精神が旺盛です」
この仕事を始めて、嬉しいと感じるのは「外国の人たちが、自分の望む仕事に就いた時の『ありがとうございました』と言われる瞬間です。私たちがやってきたことが本当に報われたと思う一瞬です」
そう思うと同時に、こういう人たちをもっと増やしたいと切実に思う。同社は営業所を含めると、韓国、在日、日本、中国、ベトナム、ミャンマーの人たちが働いている。
「外国人の受け入れに難色を示す会社はまだある。僕たちは中小企業を中心に国籍や人種、宗教を超えて、いろいろな国の人間がいることが当たり前になるように頑張っていこうと思っている」
(2020.12.02 民団新聞)