掲載日 : [2020-11-25] 照会数 : 9910
「新韓銀行 応援しよう」<上>立ち上がる在日同胞…持ち株大規模追加購入
[ ソウル市内に威容を誇る新韓銀行本店 ]
◆1カ月間で2%以上
最近、韓国を代表する金融グループである新韓金融持株会社の株式を在日同胞が大規模追加購入し、在日同胞の株式保有率が約15~17%前後になっていることが、韓国金融界で話題になっている。
新韓金融は在日同胞の投資によって韓国で初めて純粋な民間資本によって設立された新韓銀行を母体にしたグループだが、創立者とその家族の在日同胞株主たちが9月と10月だけで2%以上を買い入れた。株数では1000万株以上となり、このような在日同胞株主らの大規模な追加購入は、創立以来初めてだという。
これは10月にアジア系の私募投資ファンドなど、グローバル資本が第3者割当て有償増資で全体株式の7・6%を占める筆頭株主に浮上したことに対する在日同胞の対応と見られる。
◆1世の精神を継承
その主導的役割を果たしているのが新韓金融持株会社の理事(取締役)経験の在日同胞らで構成する「懇親会」だ。
新韓銀行創業以来「在日同胞の手で育て上げた新韓金融を応援しよう」との趣旨で起ち上げた親睦会で、現在の会長は民団中央本部常任顧問でもある兪在根氏だ。
懇親会のメンバーは兪会長らが個別に連絡を取る中、「今の時期、株価が安くなったので追加購入してはどうか」との意見交換が行われた。
あわせて在日2・3世の株主や企業家らで構成している「SGMA=新韓グローバル経営研究会」も賛同し着実に株式を取得している。
SGMAは「懇親会」など、1・2世たちの遺志を2・3世の企業家たちが受け継ごうと構成していた「ニューリーダーの会」や「KSHI」などが発展的に解散したあとに構成した。定期的に情報交換や学習会などを持ちながら「新韓」を応援する部隊でもある。
兪会長は「コロナ禍の影響で在日同胞の地場産業も厳しい状態にあるが、多くの有志が追加購入に賛同してくれ、感激している。やはり在日同胞の精神力は誇らしい」と述べている。
◆「筆頭株主」を維持
個人取引のため、正確な規模の把握は難しいが、現在、在日同胞の株式保有率は約15~17%前後とみられている。在日同胞の所有株は個人取引だが、全体をあわせると、この比率は「筆頭株主」を維持している。
在日同胞株主による集中的購入が始まったのは第3者割当有償増資決議の直後からだ。
新韓持株が9月4日に1兆1582億ウォン(約3913万株)規模の第3者割り当ての普通株の有償増資を決定すると香港系グローバル私募ファンド運用会社の「アフィニティー・エクィティ・パートナーズ(AEP)」と「ベアリング・プライベート・エクイティ・アジア(BPEA)」が9月末に株式購入代金の支払いを済ませた。あわせてフランスのBNPパリバ銀行が80万株を買い入れた。
このため、新韓持株では理事会の定員を増やし、彼らに社外理事2議席を配分することにした。
これによって10月20日に新株が上場され、新韓持株会社内のグローバル私募ファンドの持分率は16%台に上がった。
在日同胞株主が追加購入をしなかったら在日保有率が1%ほど下がる可能性があった。
◆株価下落が引き金
有償増資決議のニュースが伝わった後、わずか2日で約130万株(369億ウォン規模)の株式を購入した在日同胞もいた。新型コロナウイルス以降、新韓持株の株価が歴代最低水準を記録したことで、在日同胞たちの購入意欲が高まったと考えられる。
9月24日時点で新韓持株の株価は2万7000ウォン台となり、年間最高値の4万6000ウォン台に比べ40%下落した。2カ月ほど経た11月25日現在は3万4000ウォン台となっている。
金融業界筋によると「今回の増資に対して、一部の在日同胞株主たちが懸念を示したものと聞いている」とし、「ちょうど株価が大幅下落し、追加購入による株式保有率引き上げで引き続き、在日同胞の影響力維持を図ったのでは」と分析している。
新韓持株の関係者によると「懇親会」と「SGMA」らの在日同胞らが追加取得したとの話は聞いた」としている。
懇親会の兪会長は「世界最貧国だった祖国を再建するために、在日同胞は資本と技術、経営ノウハウを提供するなど、祖国の経済発展のためであれば、どのような支援も惜しまなかった」としながら、「1世たちの愛国精神をしっかり、語り継ぐことが私たちの役目と思っている。新韓持株会社を在日同胞がしっかり支えていくこともそのひとつだ」と述べている。
在日同胞がいかに母国発展に貢献したのか。そして、新韓持株の母体となった「新韓銀行」はどのように創業されたのか。次号で紹介したい。
(2020.11.25 民団新聞)