掲載日 : [2022-10-22] 照会数 : 3255
在日同胞選手が優勝…栃木国体・太極拳「自選長拳」
[ 大阪府代表の高龍大選手 ]
【大阪】日本武術太極拳連盟による自選難度競技・長拳の強化指定選手に認定されている在日同胞の高龍大さん(21、大阪産業大学国際学科3回生)が、いちご一会栃木国体・第77回国民体育大会「成年男子の部」で優勝した。武術太極拳は国体公開競技として9月24、25の両日、鹿沼市のTKCいちごアリーナ(鹿沼総合体育館)で行われた。
武術太極拳は正式競技には含まれない公開演武競技の一つ。伸びやかで大きくゆったりとした動作の太極拳と違い、長拳は大きくスピードがある動作に足技なども含め躍動感にあふれているのが特徴だ。自選難度とは自分のレベルに応じて難度動作と連接難度動作を選んだうえ、全体の演技を自分で構成するというもの。
競技時間は1分20秒から2分まで。動作の質を中心に5点、演技レベルが3点、難度動作の2点の計10点満点。高さんは跳躍とスピード感あふれるキレキレの演技で合計得点8・94を獲得し、出場選手のなかでトップに立った。高さんは「安心感でいっぱいになった」と感想を語った。
3人きょうだいの末っ子。両親が武術太極拳をやっていた影響で、「お姉ちゃんがやるなら僕もやる」と7歳の時から始めた。やがて高校受験を控えると、受験勉強のため練習の回数を減らしていった。少し練習しただけで大会に出るというのは当然しんどく、「楽しくない」「武術を続けて何になる」と思いだした。「辞める」という考えも頭をよぎった。
そんな時、同年代の選手が国際大会で活躍しているのを耳にし、再び闘志を燃やすようになった。18歳というジュニア最後の1年は「辛く長い1年」だった。だからこそ、最後に1位を取った時の気持ちは言葉では言い表せないという。再び勝ちたいという気持ちが増しているという。
競技当日、会場で演技を見守っていたアボジの邦英さん(民団大阪港支部副団長)は「一つのミスが命とりになる競技。メダルは取れると思っていた。よくやった」と目を潤ませた。邦英さんは武術太極拳で韓国国体やなみはや国体にも出場した経験がある。
高さんの次の目標は2026年に名古屋で開催されるアジア競技大会への出場だ。五輪マークの入った代表ジャージを着てメダルを取るのは小さいころからの目標だったという。目標を達成してさらにその先も精進していくと誓っている。