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「椒井薬水」など柱に
清州市と曽泙郡
韓国忠清北道の清州市と曽泙郡が清州市文化産業振興財団と共同推進する「世宗大王100里、まち文化振興事業」が最終段階を迎えている。
世宗大王が123日の間、両地に滞在してハングル創製の最終作業をしたという歴史的な背景を土台に、この地域を忠北地方の代表的な癒しの観光地にするのが目的。
「世宗大王100里」とは、清州の歴史遺産を代表する上党山城、椒井薬水がある椒井里、世宗大王が訪れたという曽泙郡栗里の3つの名所をつなぐ地域一帯を指す。
1444年、世宗大王はハングル創製作業の疲労が原因で眼病を煩い、治療のため訪れたのが、忠北地方の鉱泉水「椒井薬水」だ。天然炭酸水が湧出する霊泉で、皮膚病にも効能があるとされる。
同事業のなかの「椒井里プロジェクト」を担当するチームは、椒井文化公園を作った。鉱泉水の流れと炭酸水の気泡をかたどったオブジェを門に飾った。さらに休憩場所には世宗大王一行の行列をイメージした大型の掛け物、あずまやには大型の筆と硯を設置した。
チームを率いたチョ・ソクジンさんは「コンテナで作ったメディアアート空間では、世宗大王の歴史資料を映像などで観覧できる」と話す。
今後、宮中焼き肉や三色チヂミなどの料理のほか、冷麺なども観光商品化する方針だ。
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芸術家の知恵を公募
清原郡などの4村
忠清北道清州市の文化産業振興財団は、世宗大王にゆかりのある4つの村々をまとめて「文化再生空間」として生まれ変わらせた。各村で代々受け継がれている歴史や伝統を融合させた村作りをするため、全国規模の公募によって選ばれた芸術家たちは、企画段階から村民の意見を積極的に取り入れながら村に活気を取り戻した。
◆80年前の精米所、100年前の井戸
清原郡の楮谷里の村には、80年前の精米所と100年以上前の井戸2カ所がある。同地域を担当した芸術家チームは精米所を撤去しようとしたが、昔のなごりをとどめたいという住民の要望を受け、村の会館付近に穀物を加工する施設を建てた。内部には、都市と農村をつなぐコミュニティー空間「ブックカフェ」がある。
また、会館から20〜30㍍離れたところにあるケヤキの根元から地下水が湧き出る場所と、村の中心部に位置する井戸2カ所を整備。
◆「音」で見る散歩道
牛山里の村を担当したチームは、スマートフォンと衛星利用測位システム(GPS)を活用し、音を利用することで「感性に働きかける散歩道」を実現した。観光客は住民の語りを聞きながら村を回ることができる。さらに村の会館を「サウンド・プロジェクト」の案内場所として、メディアアート作品も紹介する。
◆歴史と文化を見る場「上党山城」
上党区にある「上党山城」は石造りの山城で、周囲は4・2㌔。昔の築城技術や山城文化を見ることのできる歴史教育の場となっている。担当チームは、上党山城に関する数少ない記録物を発掘し、村の会館に整備するアーカイブの作業に重点をおく。
市や財団が推進する「世宗大王100里、まち文化振興事業」と関連し、村の会館に高麗・朝鮮朝時代の国家研究機関に似せた装飾を施した。学生を対象に科挙試験をテーマとするイベントを企画中だ。
◆路地の壁画、農家の味
刑東里を担当したチームは、村の会館周辺の路地を活用した文化再生プロジェクトを進めた。会館1階は住民が運営する食堂に、2階はみそ玉麹の発酵室にした。路地のいたるところに村のストーリーが描かれた壁画を飾り、寄贈された廃棄バスを利用して図書館とギャラリーを作った。
(2015.3.4 民団新聞)