東京大学現代韓国研究センター(木宮正史所長)は3月30日、同大学駒場キャンパスで「慰安婦」問題の特別研究会を開催。解決のための手立てを、有識者やメディア関係者ともに議論した。
同センターが手がけるシリーズ4回目の研究会だが、高陽市(崔星市長)との共催で実現したため「特別編」とした。元慰安婦10人が生活を共にする民間施設「ナヌムの家」(京畿道広州市)から姜日出さん(89)が証言のために来日した。
姜さんは「16歳のとき、日本人に動物でもないのに手を縛って中国に連れて行かれた」。頭部には「さんざん叩かれた」という傷がいまもなまなましい。「なぜ、日本人に犬のような扱いをうけなければならなかったのか。なぜ、中国にまで連れて行かれたのか」と、やり場のない悔しさと憤りをぶつけた。
財団法人女性のためのアジア平和国民基金に関わった東大の和田春樹名誉教授は、「総理は謝罪の手紙を渡したが、償いに国民の募金をあてたことで日本政府は責任を認めていないという不信感を与えた」との認識を示した。
メディア関係者からは、いま日本の新聞で書くことの難しさが語られた。約8割が戦後生まれで占められているいま、「慰安婦」問題を記事化すれば、読者から強い反発が返ってくるという。「嫌韓ムードが象徴的。支援、応援してくれる声はほとんどない」。
「女たちの戦争と平和資料館」の渡辺美奈事務局長は、「93年の河野談話を認めたのに、蒸し返したのは日本政府。日本政府が謝罪と償いをすることが関係をよくしていくための出発点」と強調した。
木宮所長は、「安倍首相の歴史認識に問題はあっても、いまはその首相を動かすしか術がない。それには対話と圧力が必要。朴槿恵大統領自ら安倍首相と会って説得してほしい」と希望した。
(2015.4.8 民団新聞)